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駅で起きたテロは1時間余りで鎮圧された。
今回の主犯は狼鬼、餓狼陣という男であることがわかった。彼は鬼たちで構成されていた暴力団の長であり、今回のテロ行為は”狩人”の衰退を狙っていたという。これは拘置所に入れられた虎鬼の証言である。しかし、虎鬼はこの証言を最後に死んだ。しかも事情聴取中にだ。隊員と会話してる途中、彼が床を見た瞬間何かに怯えだし席を立ち、声荒げだした。そして、何かに詫びるかのように叫び出し、氷漬けになってしまった。
「ここまでが今回のテロ後の報告です」
「ありがとう。今井曹長。」
「今回の出来事でわかったことは鬼たちは我々の組織としての衰退を狙っている。なんとしてもこれを防がねばならない」
そのセリフとともに会議は終わり、犬島は部屋を出る。後ろから近づいくる音がする。
「犬島!」
その声の主はグリーンチームリーダーの鶴見だった。
「鶴見…会議は終わったのか?」
「ああ…今回は死者は俺たちの組織にはでなかった…でも、一般人は…」
「その件は上に報告しておこう…」
犬島は歩き出し、鶴見は後を追う。
「なぁ…そろそろ”あの人”を呼び戻すべきじゃないのか?」
「…それはダメだ…」
「何故だ!?この組織には”あの人”がいるべきだ!」
「…”あの人”は戦えない。そういう”契約”を交わしている…」
「ならば、”四家”の育成をしよう…!今、全ての一族が組織にいる!」
犬島その場で立ち止まり、鶴見を見下ろす。
「”四家”のうちの一家の子は自分が先祖代々鬼殺しの一族だということを知らないのだぞ?もし、あの子に鬼殺しの一族であることを教えてみろ…あの子は今以上に過酷な道を進むことになるんだぞ?」
「いいのか?!このままのぬるま湯で浸かっている状態では鬼から東北を取り戻せるのは数年もかかるかもしれないのだぞ!?今こそ一部の隊員の育成を行うべきだ!」
犬島は少し怪訝な顔をして、歯を強く噛み締めて鶴見のよりいっそう近づき、視線が合うようにしゃがみこむ。
「2つ言おう!1つ!東北の奪還は今、レッドが必死で前線を押し上げているんだ!彼らからの報告次第でしか作戦は実行できない!君もわかっているはずだ!2つ目!一部分の隊員の育成…俺には理解できない!今やるべきことはチームワークの強化だ!一個体の鬼が脅威になっているんだ!1人の隊員ではどうすることも出来ない!俺たちが全盛期で戦っていた時と訳が違う!」
「2人とも」
後ろで落ち着いた声が聞こえる。振り向くと総司令のスティーブがその場にいた。
白い髭を生やした中肉中背の男性。
「総司令…大変お見苦し姿を見せてしまいました…」
「君たちの話は両方ともわかる。あの地獄を生き抜いた君たちだからこそわかる事だ。しかし、あれから10年だ。10年という時の流れで今必要なのは何か。それを今指導者となっている君たちはみつけるべきなのではと思うがな」
「総司令…俺は”あの人”を呼び求めるべきでは無いと思うんです…もう戦う意思もないと思うので…」
「そうだな…私もそれは犬島の意見に賛成だ。あいつはもう刀を振る必要は無いからな…。それでは私はこれでお先にするよ。あ、あと。今度、もんじゃ焼きを私と猿山で食いに行くから一緒にどうだい?」
「「ぜひ、お願いします」」
総司令はスタスタと歩いていってしまった。
「鶴見…飯食い行くか…」
「…行こうか…」