テラーノベル
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あれから数日、バース性の結果は変わらず『β』だった
医者も近くにΩがいただけだろうとの事
念の為カラスバさんとレオに報告すると、2人とも「よかったな」と声をかけてくれた
『(αなのに2人とも本当に優しい)』
αは血的にも、プライドが高い人間が多いと思っていたが2人のように優しい人もいるのだと実感する
自分はβだから、きっとレオと結ばれる事なんてないしΩのように彼を魅了することもできない
『βって恋愛において不利だよね』
Ωは辛いとかヒート状態のΩは迷惑だとか聞いて地位が低くなっているが、もし想い人がαであれば想い人を魅了することができる
不謹慎だがそれは羨ましい
『…ま、私には縁がない話だけど』
そう笑っていたが、数週間後私はΩを下に見ていたことを後悔する事になる
──数日後
いつも通りカフェでPCを開き、仕事をしていた時だった
─ロトロトロト♪
見覚えのない番号から着信が入る
『…はい?』
〖ゼラ様で間違いありませんね。此方サビ組と申すものなのですが〗
『え?な、なんでサビ組が……』
サビ組といえば、ミアレで有名な反社組織
無理矢理過酷な労働をさせられたという話も聞いたり、なんにせよいい噂は聞かない
そんなサビ組がなぜ?どうして?
〖現在、其方のお母様がお抱えしている借金の件でお尋ねしたいことがありますので御手数ですがサビ組事務所まで来て頂いてもよろしいでしょうか?〗
『お母さん…?ま、待ってください!私母とはもう…!!』
〖今週中に必ずお越しください〗
───ブツッ
此方の話も聞かずに一方的に要件だけいい、切られてしまう
『うそ、でしょ………』
母はもう幼い頃に父と離婚してずっと会えてない
母は小さい頃からギャンブラーでよく借金をしていたが、まさかサビ組にまで金を借りていたのだろうか?
『はぁ…こういうのは早めに行こ…』
とりあえず話して無関係だと主張するしかない
きっと行かなければ酷い目にあってしまう
溜息をつきながらパソコンを閉じてカフェを出た
『(面倒事はもう嫌なのに…)』
ミアレの洋風な建築物の中に堂々と立っている大きな和風建築な施設〖サビ組事務所〗
スマホを握りしめガラの悪い門番がいる門の前へ近づく
すると此方の来客をわかっていたかのように、大柄な男の人が現れる
「ゼラ様ですね。 早くにご対応頂き感謝致します。こちらへ」
『あ、は、はい……』
門番の人達の強ばった表情を見る限り、上の立場の人なのだろう
そう思いながら、大きな背中を前に重苦しい事務所内を歩く
エレベーターに乗り、重苦しい部屋に入るなり、近くのソファへ座るよう案内される
「本日ボスが不在の為、私〖ジプソ〗が対応させて頂きます」
『は、はい…ご迷惑をおかけします』
「いえ、これも仕事ですので。それで早速本題なのですが…」
ジプソは1枚の契約書をゼラの前へ差し出す
「ミアレに偶然来られていたお母様と会いまして。かなり痩せこけていらっしゃいましたので、心配でお声がけした所借金を抱えており、返済できる金がないとの事で私共も見捨てられずお金を60万程お貸ししたのですが…」
『ろっ!?!?』
借りるという額ではないだろう…あまりの大金に息を飲む
「今の今まで返済されておらず、お母様へ確認した所こういう契約で落ち着きまして…」
『……は…?』
もう1枚渡された契約書を見てサーッと血の気が引く
それは私を『サビ組に渡す』という契約書だった
渡す、という意味はきっと私そのものをだろう
世は母に私は売られたのだ
「此方も1度止めさせて頂いたのですが、父や娘の許可も得てると聞きましたので」
そんなの嘘だ。だってあの人とは縁を切っている
仲が良ければやせこけた母がミアレの街を出歩いてるなんて知れば放って置かないことなどすぐわかるはず
それなのにきっとこの人達はそれを理解した上でこの契約に乗っている
『っ、私と父はそんな話聞いておりません。それに母とは幼少の頃に縁が切れていますし』
「ですが、既に契約は済んでおりますので」
『でも…!!本当に私は母の事なんて知らなくて───』
「口ではなんとでも言えるでしょう。だからこそこれがあるのです」
そう言って契約書を再度見せつけるように前に出すジプソに苛立ちを覚える
やっぱりヤクザなんてろくなものじゃない
私は何も知らないし
『お、おかしいです!!私の意思はないんですか!?』
「……あると思いで?もし、できるのであれば利子込みでお母様が借金されている額、約500万お支払い頂けるのであれば宜しいですよ」
『は…?利子で…??ま、待ってください、そんなのおかしいじゃないですか!!詐欺ですよ!!』
バンッ!と机を勢いよく叩く
しかしジプソはそんなものではビクともしない
「そうですか、それなら仕方ありませんね。では、ゼラ様のお父様の方にお話するしかありませんね」
『え…父に……?』
「ええ。必然的にそうなりましょう」
お父さんは駄目
母が居なくなってから男手ひとつで学校も通わせてくれた父
ミアレに行くのだって、応援してくれた父
そんな父にこれ以上負担はかけられない
『ち、父は…やめてください……』
「では、契約書通りゼラ様という事でよろしいですね?」
『………………』
「……申し訳ありません。此方も暇では無いんです、早く決めて頂けますか?」
威嚇するように、ジプソの後ろにエアームドが現れひと鳴きする
『ゔ……っ、』
正直やりたくない。女であれば、こういう人達がどんな扱いをしてくるか目に見えてくる
普通の労働ならまだ耐えられるが、水商売やましてや身体を求められたりなんかしたらたまったもんじゃない
しかし断れる雰囲気でもないし、断ればきっとこの人達は本気で父に連絡をするだろう
『最低ッ……!!』
せめてもの反抗で、ジプソを睨んだ後震える手で契約書にサインした
──ゼラが帰った後の事務所にて
「へぇ〜、字も綺麗なんやな」
サインされた契約書を見て上機嫌に口角を上げるカラスバ
「ま、これで彼奴はオレの手の中や
…ほんま可哀想な女やな。」
母に売られ、理不尽だと思いながらも父を想い自分を犠牲にする綺麗な心の持ち主
勿論、ゼラの母親もタダで済ますつもりはない
1番嫌いなのは、責任を押し付けるだけ押し付けて逃げる女さかい
そもそも娘を簡単に売る屑女、のうのうと生かす訳ないやろ
「ジプソ、あのオバサンへの利子は増やしといてな。それに少しでも贅沢しよったら、取り上げてええさかい」
ちゃんとそれも契約書に書いとるしな
あのオバハン、目先の金に囚われてまともに契約書見てへんかったけど
「…後はこれでこっちに堕ちてくれたらええなァ……」
契約書を見ながら、小さく笑った
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