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元貴 side …


「ご馳走様でした」


胸の前で手を合わせる。美味しくてあっという間に食べ終わってしまった。スマホで時刻を確認すると、いつの間にかもう3時を回っていた。俺はスマホをポケットに入れ、財布を取り出す。


「お会計いいですか?」


「あいよー」


厨房のパイプ椅子に座り、店に設置されたテレビを見ていた店主がゆっくりと立ちあがる。


「お会計、750円ね」


「はい」


俺は財布の中から小銭を出し店主に渡す。すると店主は750円ちょうどねと小銭を受け取った。


「毎度あり!兄ちゃん、また来てな!」


「ご馳走様でした」


店主がレシートを渡した後に言う。店から出るのが少しだけ寂しくなる。こんな暖かい人たちを忘れてしまっていただなんて。心の中で夫婦の2人に謝罪する。俺は店から出て、引き戸を閉める。


さぁ、”最後の目的地”へと向かおう。


俺はコートの両ポケットに手をを入れ、ゆっくりと歩いていく。外は東京よりはマシだが、やはり寒い。吐息は全て白くなる。目的地は店のすぐ近くらしく、徒歩で5分ほどだった。







「…着いた」


青い空。冷たい風が頬を撫でる。目の前には透き通るような美しい海。


そう、”あの海”だ。


夢で見た海と瓜二つ。やっと辿り着いた。目の前の光景に目頭が熱くなる。俺はゆっくりと海へと近づく。


ザーッと波の音がする。俺は靴と靴下を脱ぐ。そしてゆっくりと海へと足を入れる。


「…ははっ、冷たッ笑」


やはり冬の海はものすごく冷たい。吐息が更に白くなるように感じた。だが、引き返す訳にはいかない。俺は更に海へと歩いていく。


「寒すぎでしょッ…笑」


いつの間にか水が膝あたりまで来ていた。だがまだ足は地に着く。まだ俺が見たい”景色”を見れていない。まだ帰れない。俺は更に深くへと足を運ぶ。


「…若井」


つい口から彼の名前が零れた。若井はこの海にいるはずなんだ。だからこの海に来た。絶対にいる。若井は必ずこの海にいるんだ。


震える手をぎゅっと握りしめる。寒さで震えているのだろう。怖くなんてない。


いつの間にか海は腰辺りまで来ていた。肺に入ってくる空気が冷たくて、体の内側が痛くなる。指先も首も全箇所が冷たくなる。こんな時、涼ちゃんと若井が居たら暖かいのにな。


『元貴知ってる?寒い時は首を触るといいんだよ!首は暖かいからね〜!』


頭の中で涼ちゃんの声がする。いつの冬の話だっけ。涼ちゃんのデタラメな情報。ふふっと笑みが零れる。試しに自身の首に触れてみるが、暖かさなど1ミリも感じなかった。


『元貴指先冷た!笑俺が温めたげる』


次に頭の中で聞こえたのは若井の声だった。ああ、若井。ずっと昔の若井の声もする。会いたいよ。君に会いたいよ。


いつの間にか、思い出すのは若井の事ばかりになっていた。











次回最終回です…😭

本当にあっという間ですね!!


果たして、元貴くんは見たい”景色”に

たどり着けるのか…?


最後の最後まで楽しんでいただけると

嬉しいです🙌🏻💞


このお話が完結したら、 1話だけ番外編で

涼ちゃん目線のお話を更新しようと

考えております!


少し遅れるかもしれませんが、

楽しみにして頂けると嬉しいです…!


ではまた明日の最終回で…^^


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