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あの日_

俺達が“条件”を飲んでから1週間後、誘拐された。

本当に突然だった。

学校からの帰り道、彩月と歩いてた。

「…それでさ_」

「彩月…おい、彩月!」

意識がない…。なんで?

…まさか!

鈍い音が聞こえ、意識が飛んだ。


目が覚めるとそこは見知らぬ場所だった。

「樹月、起きろ!」

ダメだ、起きない。

「この、早く…起きろ!」

なから力技で樹月を起こす。

「痛って!蹴ることないだろ!」

「起きないそっちが悪い」

「ここどこ?」

「分からない。」

実際、逃げようにも身体中痛くて動けない。

殴られたとか言う痛みじゃない。薬剤的な痛みだ。

「…やっと、起きたぞ、此奴ら。」

誰だ…

「そう警戒すんなよぉ。これから同族になるんだ。“契り”を結ぶんだ。」

「契り?なんだ、それは。」

「これからわかるわ。意外と楽しいのよ。」

[“鬼神様”の御成です。頭を垂れよ。]

鬼神様…

前襲ってきた彼奴か、

「お前が、聖を…!許さない…」

「樹月、落ち着くんだ!」

今動いたら何されるか分からない。

『威勢がいいのは良いこと。これからのことに耐えられるからのう。』

「何に…耐えるの…」

『其処の娘は大体の察しはついているであろう。…小僧も気づいたか。』

嗚呼,なんで、条件飲むなんて言ったんだろう。

なんで、樹月も私は見知らぬ男に犯られなきゃいけないのだろう。

何が楽しいだ。苦しい、痛いだけじゃないか。

「や…ぁ…ぅ…あぁ!」

樹月の嬌声が隣から聞こえる。

此奴、男だぞ。男が男を犯してるなんておかしいだろ…。

「う…やぁ…やだ!」

自分からこんな声が出るなんて、最悪の極みだ。

最悪…


目が覚めるとそこはどこか分からないベッドの上だった。

首には少し違和感がある。

横を見れば彩月がいた。

「彩月、起きろ,彩月!」

「う…ん、樹月?」

「そう、そうだよ」

「樹月、その首のチョーカー、何処でつけた?」

「彩月もだよ。」

さっきから首に違和感があったけど、これか…

画像

「これ、発信機ついてる。」

「マジ?」

「うん。多分、外出たらバレる。」

なんで、ここまで俺らに執着する?

『やっと起きたのか…」

「ひ…!」

彩月が短い悲鳴を上げた。

『今回は手を出さない。“今回は”な。動けるならついてこい。」

「…彩月、今抵抗したら何されるかわからない。行こう。」

「…うん。」


ついて行った先には、“更衣室”があった。

『着替えろ。」

画像

渡されたのは、和服。

私は、髪型も変えられた。

『中々似合うな。さすが“鬼神様”だ。」

「…これから何するの?」

『お前たちに“名”を与える。」

は?名前ならもうあんだろ。

『そうだな、其処の小僧は“艶尾”、娘は“妖尾”だな。」

変な名前。

「なんで名前を?」

私も感じていた違和感。なんなんだ。

『これから殺人術を叩き込む。お前たちは今から“暗殺師”だ。」

そうして、私らは暗殺師になった。


数年後、俺らは22歳になった。

殺人にも慣れたくないが慣れてきた。

〈艶尾、妖尾、御奉仕(仕事)だ。用意しろ。〉

「…はい…」

彩月は随分静かになった。もうあんな目に遭いたくないんだろう。

「…ねえ、彩月?」

「どうしたの、樹月。」

「初めて殺人した時の記憶、ある?」

「正直言って、あんまり憶えてない。あの時は“殺さないと殺される”。そんな感じだったから。樹月は?」

「同じだ。」

「やっぱり似てるな、私ら。ってなんで泣いてるん?」

彩月が笑った…。笑ってくれた…よかった…

「ごめん…彩月が久しぶりに笑ったから安心して…」

「君は私の保護者か!」

彩月が使うのは薙刀。

俺が使うのは刀。

どっちも大型だ。警察にバレた場合は隠せないから、直前まで隠している。

どこかは内緒だ。

〈次の暗殺対象は此奴だ。麻生有志 54歳、資産家だ。〉

「了解です。向かいます。」

[行ってらっしゃい、九尾の双子様、ご武運を」


私らはできるだけ怪しまれないように歩いて移動する。

「ねえ、艶尾?」

「どうした?妖尾。」

「こんなこといったら怒られそうだけど、彼奴らに会いたいと思っただけ。」

「奇遇だね。俺もだ。」

雑談しながら、対象者の家に向かう。

私はこの時間で人を殺す覚悟を決める。

「ここだな。麻生の家は。」

「艶尾、深呼吸。落ち着け。」

「…ふぅ。よし、行こう。」


ピーンポーン。

インターホンを鳴らす。

『誰だ』

「宅配便です。開けてもらえますか?」

(妖尾、1,2,3で行くぞ。)

(了解)

『なんだよ。開けてやったんだから早くしろよ!』

「…動くな。お前が一歩でも動いたら殺す。」

できるだけ低い声を出して脅す。

『…目的はなんだ!なんなんだ、貴様らは!』

「ギャーギャーうるせぇな。“我らは九尾。黄泉へ導く地獄への案内人だ”。」

彩月、口悪…。

麻生を家に押し込み、部屋の奥へ向かう。

『金なら幾らでも渡す!命だけは!』

何度醜い命乞いを聴いただろう。

何度、悲鳴を聞いたらいい?

殺さないと殺される。

俺だって命は惜しい。だから、殺す。

『この、“人殺し”!』

「…そうかもね。」

俺は対象者を切り刻んだ。


「樹月?大丈夫か?」

「…あぁ。」

いつも樹月が最後に手を下す。

*なんでと昔聞いた。* 

そしたら、“私を人殺しにしたくない”。そう言った。

でもね、樹月。

もう遅いんだよ。

たくさんの人を見捨ててきた。

たくさんの人を殺してきた。

たくさんの人を殺した私の手はもう血みどろなんだよ。

彼ら…聖と仁が知ったらどんな反応するだろう。

彼らにとって最も残酷な話だろう。

絶望するな、きっと。

正義感の強い人だったから。

お稲荷様 。ごめんなさい。もう血みどろになった私らは貴方に仕えることはもうできません。

ごめんなさい。


その後、警察官を殺す任務が入った。

名前は[本条]と[成田]。

その警察官に手紙を託した。

死ぬような怪我はさせていない。

警察官を殺す時は必ず狐面の模様を顔に刻んだ。

かなり痛いだろう。

罪悪感がえげつない。

「ごめんなさい。」

2人で謝ってからその場を去った。

追われるモノと負うモノ

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