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###番犬くんと優等生###
<第九章> 新たな誘い
“拭いきれない不安の予感”
新しく転入してきた流風は、たちまちクラスの注目の的となった。彼は男でありながら、その容姿は可愛らしい系の美人だった。透き通るような白い肌に、大きな瞳、そして口元に浮かぶ無邪気な笑みは、男女問わず多くの生徒を惹きつけた。昼休みになると、流風の周りには常に人だかりができていた。女子生徒たちは彼の柔らかな雰囲気に夢中になり、男子生徒たちもその人懐っこさに警戒心を解かれていた。
春夜は、そんな流風を遠巻きに眺めていた。彼は人混みが苦手だし、何より、あの完璧な優等生である龍崎に匹敵する、いや、それとは別の意味で底知れない気配を流風から感じ取っていたからだ。流風の笑顔の裏に、何か計算されたものが隠されているような、そんな漠然とした不安が春夜の心にはあった。龍崎のことが頭から離れない春夜にとって、もうこれ以上、日常を乱されるのはごめんだった。
賑やかだった昼休みが終わり、授業のチャイムが鳴り響く。クラスメイトたちがそれぞれ席に戻っていく中、流風の周りの人波もようやく引いていった。春夜は、いつも通り窓の外を眺めながら、次の授業が始まるのを待っていた。
その時だった。
流風が、春夜の席へとまっすぐに歩み寄ってきた。春夜は一瞬身構える。自分に何の用があるのか。
流風は、春夜の耳元にそっと顔を近づけると、誰にも聞こえないように、しかしはっきりと囁いた。
「ねえ、春夜くん。放課後、屋上に来てくれないかな?ちょっと、相談したいことがあるんだ」
春夜は驚いて流風の顔を見た。流風は、いつもの可愛らしい笑顔を浮かべている。その瞳は、純粋に助けを求めるような色をしていた。春夜は、流風のようなタイプとは普段あまり接点がない。何かトラブルに巻き込まれたのか、あるいは、転校してきたばかりで困っていることがあるのかもしれない。そう考えると、無視するわけにもいかない。
(相談、ねぇ……)
龍崎とのことが脳裏をよぎり、疑念が春夜の心をよぎる。しかし、屋上という開けた場所、そして流風の表情からは、何の悪意も感じられなかった。むしろ、頼られているような感覚に、春夜の心はわずかに動いた。
「……分かった」
短く返事をすると、流風は嬉しそうに目を細めた。
「ありがとう、春夜くん!待ってるね!」
そう言って、流風は自分の席へと戻っていった。
春夜は、流風の去っていく背中を見つめた。相談事。自分にできることなら、助けてやってもいい。だが、心のどこかでは、やはり拭いきれない不穏な予感が付きまとっていた。あの龍崎の支配を逃れて、ようやく手に入れた平穏な日常。しかし、この転校生、 流風の登場が、再び春夜の運命を大きく揺り動かそうとしていることを、春夜はまだ知る由もなかった。
放課後、春夜は重い足取りで屋上へと向かった。
何か夏休みなのに夏休みじゃない(-.-;)y-~~~
勉強、勉強って笑o(`ω´ )o
でもこの小説書いてる時は楽しい!
ではまた次回!
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