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カンタロー×貧ちゃん
捏造有り
Xにあげたものです
三十四歳にもなって、まさか幼なじみと恋人になるとは思っていなかった。
カンタローはキッチンでグラスを拭きながら、リビングのソファに座る貧ちゃんをちらりと見た。
小学校の頃から変わらない、少し神経質そうな姿勢。色白で、細身で、モデルみたいに脚が長いくせに、妙に生活感のある部屋着。 そして何より、あの眼鏡。
「……落ち着かねぇな」
思わず口にすると、貧ちゃんが顔を上げた。
「俺が泊まりに来ただけでそんな緊張してんのか?カンタローが」
「いや、そりゃするだろ。お前、俺の恋人だぞ」
「その言い方まだ慣れない」
苦笑する貧ちゃん。
付き合い始めたのは、つい一ヶ月前だ。小学校の同級生。
社会人になってから再会して、飲みに行く仲になり、そこからカンタローが猛アタックした。
断られても断られても食い下がり、「男同士だろ」と言われても「知ってる」と笑い、半年かけてようやく振り向かせた。
その結果が、今だ。
初めての“お泊まり”
「……なあ」
カンタローが隣に座ると、ソファが沈む。
体格差は昔からだ。カンタローは背が高く、肩も広い。貧ちゃんはスラっとしているが、並ぶと明らかに小さい。
「近い」
「恋人だろ」
「だからって近い」
そう言いつつ、貧ちゃんは離れない。
沈黙が落ちる。テレビの音だけが小さく流れる。
ふと、カンタローが言った。
「……キス、していい?」
貧ちゃんが固まった。
「え?」
「いや、付き合ってるし」
「いやいやいや」
貧ちゃんは耳まで赤くなった。
「そういうのは……段階があるだろ」
「一ヶ月経ったぞ」
「そういう問題じゃない!」
言いながらも、視線が泳ぐ。カンタローは思わず笑った。
「貧ちゃん」
「なに」
「お前さ」
ぐっと腕を伸ばして、貧ちゃんの肩を引く。
「うわっ」
そのままソファに押し倒した。
「カ、カンタロー!?」
驚いた顔。眼鏡の奥の目が大きくなる。
「お前、自分が男側だと思ってただろ」
「そりゃ…」
貧ちゃんは眉をひそめた。
「だってカンタロー、こういうの鈍そうだし」
「失礼だな」
「いや、実際そうだろ」
カンタローは笑って、貧ちゃんの顔を覗き込んだ。距離が近い。呼吸が触れるくらい。
「でもさ」
「…なに」
「俺、ずっと好きだったんだぞ」
その言葉に、貧ちゃんの目が揺れる。
「小学校のときから」
「…それは盛りすぎ」
「いやマジ」
カンタローは手を伸ばした。そして、貧ちゃんの眼鏡に触れる。
「ちょ、ちょっと」
「外す」
「なんで」
「キスしづらい」
するりと外される眼鏡。
貧ちゃんの目がむき出しになる。少しつり気味で、でも柔らかい目。
「…なんか恥ずかしい」
「なんで」
「見られてる感じする」
「見てるからな」
カンタローは笑った。そして、少しだけ真面目な声で言う。
「嫌?」
貧ちゃんは少し黙った。視線をそらし、また戻す。そして小さく言った。
「……嫌なら泊まりに来てない」
「じゃあ」
「でも」
貧ちゃんはため息をついた。
「俺、受け入れる側とか考えてなかったんだけど」
「今考えればいい」
「軽いな!」
「大丈夫」
カンタローは優しく言う。
「ちゃんと大事にする」
その言葉に、貧ちゃんの肩の力が少し抜けた。
「……ほんとに?」
「ほんと」
貧ちゃんは少し考えて、観念したように目を閉じた。
「じゃあ…」
小さく呟く。
「…キスくらいなら」
カンタローは一瞬止まった。
それから笑う。
「了解」
そして、そっと唇を重ねた。やわらかい。
貧ちゃんがびくっと震える。でも逃げない。カンタローはゆっくり離れた。
「…どう?」
貧ちゃんは顔を真っ赤にしていた。
「……ずるい」
「なにが」
「眼鏡外すの」
「いいだろ」
「…反則」
そう言いながら、貧ちゃんは小さく笑った。
そしてカンタローのシャツを少しだけ掴む。
「もう一回…」
その声を聞いたカンタローは今度は迷わず、もう一度キスをした。
長く、深く。