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【きづいてるかな】: krsh
sh視点
ぐんと重い鉛色。
そんな空の下でなにも考えずに足を進めていく。
無意識に足を運んだ先は、自分の家ではない。
カレのお家。
窓が見える場所に行っても、今日はカーテンが閉まっていた。
仕方なく踵を返して自分の家に向かう。
どうせ家に帰ってもカレの姿を見られるんだし。
でもちゃんと考えて歩かないと自分の家にはたどり着けない。
いつからこうなったのかなんて、もう覚えてないけど。
自室の扉を開けて即座にモニターを起動する。
画面の向こうには、いつも通りの景色が広がっていた。
たくさんのモニターとスピーカー 、
壁一面に貼りたくられた写真、
緑一色に染まったカレのお部屋。
カレは相変わらずモニターに夢中になっている。
それは間違いなく俺の部屋。
そう、後ろに置いてあるぬいぐるみからの景色。
カレにもらったぬいぐるみ。
その綺麗な瞳に埋められたレンズを見つけた瞬間に、嬉しくなった。
こんなに好きなのって自分だけじゃないんだって。
それからずっとずっと、カレにも同じことをしてあげている。
相思相愛だもの。
カレが一生懸命追いかけてる存在に、
彼自身も追いかけられている。
きっとカレは自分が優位に立っていると未だに勘違いしてるんだろうね。
本当はとっくにひっくり返っているのに。
そんなところも可愛いから許しちゃうけど。
カレには沢山レンズをあげちゃったから、きっと見つかるのも時間の問題。
見つけた時どんな反応をしてくれるかな。
甘くて深くて、蜂蜜みたいな瞳がこぼれ落ちてしまいそうなほど驚いてくれるかな。
くるくると可愛らしい髪の毛をふわふわさせるほど飛び跳ねてくれるかな。
それとも、カレの視界を奪うほどの水が溢れ出すのかな。
その瞬間は何があっても見逃せないなぁ。
自然と緩む表情筋に自分でも驚くほどだ。
案外バレなくて面白い。
大きなサプライズを仕掛けてるみたいで楽しい。
くすぐったい胸を抑えながら、可愛いね なんて呟いた。
カレに届くはずもない言葉は、俺しかいないこの空間に染み込む。
どこかへ消えてしまったように思えるけれど、この空間には残っていから。
カレの尊さと儚さを、
表せそうなほど繊細で、
柔らかくて脆い。
それを掬うように手で器を作ってみる。
なーんて、ただの俺の妄想か。
空気に染み込んだ言葉だの、それを掬うだの、
夢みたいなこと考えて。
まぁ、それもカレと出会ってから。
だからカレに魔法をかけられちゃったみたいなもの。
適当な理由をつけて胸の奥にしまった。
kr視点
可愛い。
自分が上に立ってると思っちゃって。
俺の方が一枚上手なのに。
右手の薬指の金属の輪っか。
正式に言えばそんな形をした盗聴器。
いつも通り話しかける。
気づいてないフリをして。
kr「はやく、左手につけたいなぁ?」
kr「でも、そんなこといったら気持ち悪いかな」
kr「シャークん優しいし、受け止めてくれるかな?」
kr「いつになったらシャークんは俺のカメラに気づいてくれる?」
kr「もっと仕掛けちゃうよ?」
kr「なーんて、聞こえるわけないか」
kr「だって、今モニターの前に居ないでしょ?」
kr「ねぇ、しゃけ?」
目の前で横たわる彼にひとつ口付けを落とした。