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るぅ
79
いちご@やる気上昇中⤴︎
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夕焼けが街を赤く染めていた。
それでもなつは、まだ歩き続けていた。
「……。」
気付けば、朝から何も食べていない。
喉も渇いている。
それでも足は止まらなかった。
もしかしたら。
今度はらんに会えるかもしれない。
みことなら、
すちなら、
こさめなら、
そんな期待だけで、街を歩き回る。
だけど、
誰一人、見つからなかった。
足はもう限界だった。
歩いても歩いても、見つからない。
「……帰るか。」
小さく呟き、マンションへ戻る。
玄関を開けても、部屋は静まり返っていた。
昨日までは。
『今着いた。』
『ちゃんと帰れた?』
『風呂入って寝ろよ。』
『お前もな。』
そんな他愛もないやり取りを、いるまと毎日のように交わしていた。
無意識にスマホを開く。
「……。」
分かっていた。
もう何度も確認した。
それでも探してしまう。
「……はは。」
乾いた笑いが漏れた。
「未練ありすぎだろ、俺。」
ソファへ倒れ込み、天井を見上げる。
静かだ。
静かすぎる。
誰からも通知は来ない。
誰とも話さない。
昨日まで当たり前だった日常が、まるで夢だったみたいだった。
ふと、テーブルの上に置かれたマイクが目に入る。
配信用のマイク。
オーディオインターフェース。
パソコン。
全部、そのまま残っている。
「……。」
電源を入れる。
画面には、自分のチャンネルが表示された。
登録者数。
動画。
コメント。
今までと同じようにそこにあった。
「俺だけ、残ったんだ……。」
ぽつりと呟く。
その言葉が、自分の胸に重くのしかかる。
みんなは、この世界で普通に生きている。
だけど。
“シクフォニ”を知っているのは、もう自分だけだった。
『一人だけ取り残された。』
そんな感覚だった。
そのときだった。
昨日のことが頭をよぎる。
「……。」
なつはゆっくり目を閉じる。
忘れたくない。
絶対に。
たとえこの世界が全部忘れても、
自分だけは忘れたくない。
「……そうだ。」
静かに立ち上がる。
「待ってるだけじゃダメだ。」
この世界で、もう一度みんなを探そう。
たとえ覚えていなくても、もう一度出会おう。
何度でも話しかければいい。
何度でも笑えばいい。
また仲間になればいい。
そして。
「もう一回……」
小さく拳を握る。
もう待たない。
誰かが始めなきゃ、何も変わらない。
この世界にシクフォニがないなら──
「俺が、シクフォニを作る。」
その言葉は、静かな部屋に溶けていった。
外では夕日が沈み、街に夜が訪れる。
なつの長い一日が、ようやく終わろうとしていた。
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コメント
4件
僕らはその手を離さない。みたいな感じで、めっちゃめちゃ好きですっっ!
うわあああん😭💔✨ もう胸がギュッてなったよ…! 「俺が、シクフォニを作る」ってセリフ、カッコよすぎて涙出た…。 一人だけ記憶を持って、それでも歩き続けるなつくんの強さと寂しさが痛いほど伝わってきた…! 夕焼けの描写と重なる感じもエモすぎるし、「待ってるだけじゃダメ」って気づくシーン、本当に心に刺さった…次、絶対読みます🔥🌸