朝の寝起きは悪かった。
冷たい地面が、体全体を覆っている。雪国にいるような感覚だ。
ゆっくり起き上がると、3人の姿しか見えなかった。
……いない。白髪だけが……。おらふくんだ。おらふくんがいないんだ。
他のみんなは、まだ眠っていた。
「みんな、起きて……‼」
僕が呟くと、みんな目を覚まして欠伸をした。
「どぉしたのぉ………?」
ぼんさんがフニャフニャと発した言葉は、この世界に反して可愛らしい。
「おらふくん、どこに行ったか知ってる?」
僕のこの言葉で、3人の眠気が飛んだ。3人はバッと立って外へ飛び出した。
「いねぇぞ、おらふくん‼‼」
酷い空襲が来る薄暗い空の下は、常に危険に晒されている。
もし、タイミング悪く空襲が来たら………。
みんなの思考が重なったのか、僕含め4人は一斉に走り出した。
「いたっ…‼おらふくん‼」
4人で全力で走って探した。1番におらふくんを見つけたのは、おんりーだった。流石だと思う。
「おらふくん、何してるの?帰ろう。」
おんりーとおらふくんの姿を、3人で後ろから眺める。
おんりーの声で振り返ったおらふくんの頬には、キラキラと涙が浮いていた。
「うぅ、嫌だよ……。」
こんなおらふくん、見たことない。次々とボロボロ涙を零す。
鼻をすすりながら、おんりーに抱きつくおらふくん。
「特攻隊員なんて、嫌だよ。なんで俺が……。みんなと離れたくないよ…。」
弱音を吐くおらふくんは、今まで見た人の中で一番辛そうだった。
そうだよな、ほぼ確実に亡くなってしまうんだ。
なんなら、失敗して何も成果を得られず死ぬかもしれない。
誰だって、そんな粗末にされる存在になりたくない。僕だってそう。
おらふくんの頭を優しく撫でるおんりーは、立膝の形になって言った。
「おらふくん。大丈夫だよ。神様は見てくれてる。」
耳によく通る、ちょっと低めの暖かい声だった。
「おらふくんは、今までずっと笑顔だった。兄弟や親が死んでも、俺の前ではずっと笑顔でいてくれた。それは、神様もきっと見てくれてるよ。だって、俺を助けてくれたんだもん。」
2人は、幼馴染みだと聞いたことがある。
おんりーの言葉を、この場にいる4人は黙って聞く。
「そうだよ。」
おんりーより大きな声で、ぼんさんはおらふくんに言った。
「大丈夫、おらふくん。俺も一緒だよ。一人じゃない。一人で死なせたりしないから、安心して。」
ぼんさんが、おらふくんをギュッと抱きしめて背中をポンポンと撫でる。
「うぅ、ありがどぉ……。」
さっきよりも沢山涙を零していたけど、満面の笑みでとても幸せそうだった。
それを、僕とMENは後ろから笑顔で眺めていた。
あぁ、幸せだなぁ……
コメント
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おらふくんを慰めるおんぼんかっこよすぎません!?