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セカイに来て作業していると、私を見つけて安心したような表情を見せたミク。走ってこちらまで来ているので、私のことを探していたのだろうか。
「絵名、ようやく見つけた」
「どうかしたの?」
「……あ、うん……えっと」
しかし歯切れが悪い様子。言葉を唸らせて、困ったような表情を見せる。少しして、ただ私を見つめるだけになってしまった。
「えっと、別に無理に言わなくてもいいんだよ?」
「絵名、ごめん……」
「いいのいいの、言いたくなったらでいいから。ほら座って。一緒にお絵描きでもしようか」
「ううん、見てるだけでいい」
と言って私の隣に座ったので、鉛筆を動かしていく。
ミクの言いたくない言いたいこと。私を探してまで何かを伝えたかった、でも言えない。なんだか心臓に悪いので、変な話じゃなければいいんだけど。
見ている間もそわそわとしているので、集中はしにくい。けど、私に何かあると伝えられてるので、集中はとっくに切れている。
「……もう、気なんて遣う必要ないと思うんだけど」
そんなことを言いながら歩いていたのはリン。
どうやらリンは何かを知っているようだ。
「わ、私が何かしたり、とか?」
「違う。いいよね、ミク」
「でも、内緒にしてって言われたから」
「じゃあ、私には言われてないから言うね。まふゆが最近セカイに来るの」
頻繁にセカイに行っている、ということだろうか。その状況に心当たりはある。
「……また、消えたいって思ってるの?」
「ううん、違う。えっと、セカイに深夜の3時くらいに来るの。それから学校の時間までずっと起きてる。まふゆ、寝てないんじゃない?」
「……三日前からだったよ」
ミクも口を開いて、私に伝えてくる。
そういえば、前にまふゆを寝かせたことがあったのを思い出した。悪夢を見たんだったか。
「え、ちょっと待って。まふゆは三日前から全く寝てないってこと!?」
「さあ、ミクがよく一緒にいるけど」
「寝てるのかな。顔を隠しちゃうからわからない。辛そうだから、絵名が助けてあげてほしい」
そんなこと、言われたって。私に何ができるって。また寝かせてあげればいいってこと?
「……一緒にいるだけでいいの?」
「うん。そうしたらまふゆも安心すると思うから。前はそうだった、たまにセカイに来て辛そうにしてたけど、絵名のお陰で治ったから」
「そう、だったんだ」
あの頃はそんな事情なんて知らなかったから、純粋にまふゆが頼ってくれたことを喜んだ気がする。まふゆは、苦しかったはずなのに……。
「分かった。私がなんとかしてみるね」
ミクは嬉しそうに笑って、頷いた。
私にできることがあるなら、協力しないと。寄り添うことができるのは、私しかいないのかもしれないから。
それから、少しセカイで待ってみても来なかったので、私は深夜に直接会うことにした。