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練習文アル太中
⚠中途半端⚠口調下手
夏の真夜中、少し涼しい風が窓から入って
ドサッと後ろから音がした。
同時に先程感じた悪寒が間違ってはいなかったことに気づく。
「も、も、の、は、な、やろぉ〜」
そこには、酔って顔を林檎のように赤くさせ此方を見ている。男と言われても違和感しかない容姿をした男がいた。
中原中也だ。
「もぉーなんで俺のとこ来たの…?ちょっとー安吾ーー?」
「へっ、アンゴなら途中で帰ってたぜ」
「マジか…」
自分の所に中也を来させないために安吾を召喚したのに、逃げられるとは…。と軽く絶望していると
「ふひっ、なぁにお前、湿気た面してんだよ」
不思議な笑い方をして見てくる。
その笑い方につられて笑いそうになるのを我慢して、もう一度中也の方を見る。
「…?」
次は笑うこともなく不思議そうに首を傾げて此方を見ていた。それの可愛さに自分が耐えれるわけもなく、部屋の隅にいき身体を縮こまらせた。
(この男、太宰治はこんな怯えた様子を見せながらも中原中也に心を奪われてしまっている。その胸の高鳴りが酔って喧嘩になることの恐怖からなのか、本当に中也に恋をしてしまったからなのかは誰にも分からない。)
中也がゆっくり自分の方に向かってくるのを感じる。
「…お前、この方部屋で何やってんだよ、また芥川に手紙でも書いてたんじゃねーの」
と言いながら自分の上に覆いかぶさった。
「ちょ、中也っ!?降りてもらっても…”」
情けない声を出しながらも抵抗する様子は微塵もない。
ああ、モモノハナ野郎の怯えている声が聞こえる。本当に情けねー声だな。
なんて思いながら酔って使いものにならなくなった脳を揺さぶり起こそうとする。
そうしないと今、自分が何をしているかも分からない。
「ちょっと、中也ぁー…」
ふぅーっと息をかけてしまばすぐ吹き飛んで消えてしまいそうな声が聞こえる。
目を開けてみると赤い見覚えのあるアホ毛が視界を覆っていた。
「あ”?…オレなんれこんなとこに…」
ガラ声が耳に入ってくる。飲みすぎたのか上手く呂律も回っていない。
「うわ、起きた?起きたなら、ほらもう俺のとこじゃなくて他の人のとこにっ、安吾とか!!」
「うるさ、お前耳元でデカイ声出すんじゃねー。」
「あ、ごめん」
そう言うとアイツは殴られると思ったのかきゅっと身体を縮ませ自分を守るように丸くなった。
「…殴らねーよ」
「へ…」
顔を上げたのを目で追い顔を覗き込むと少し涙目で此方を見ている。
「お前、泣き虫だよなー。情けねえ、男なら浠っと強くあれよ」
「いや、俺だってちゃんと強いからね!?というか中也の方だって安吾に喧嘩で負けるじゃん!!」
「あ”あ?」
「ひぃっ”…」
そんな声を聞いて気づけば自分はケラケラと笑っていた。
「そ、そんな笑うなよ…!大体こんな姿見せるのも中也の前だけなんだからな!みんなの前ではかっこいい天才小説家太宰治でやってるんだよ、俺は」
「へえ、オレの前だけそんな感じか…ほんとオレの前で情けねえ面晒して面白いやつだよお前は…」
「お前の小説は暗い話ばっかりなのに…」
「中也…」
「泣きそうな顔になってるじゃん、大丈夫?」
そう言ってアイツは顔を覗き込んでくる。
「な”…そんな顔してねーよ…」
「何か嫌なことでもあったか?俺が何かしちゃったり…」
「っ…お前なんでこんな時だけそうグイグイくるんだよっ…」
「だって中也のこと心配だし…それに、このまま1人じゃ何するか分かんないじゃん」
この男、太宰治はオレのことを心配するのか馬鹿にするのか、全く何を考えているかも何を言い出すかも少しも分からない。
「んと…モモノハナ野郎といると気が狂いそうになる」
「ええ!?俺別にそんな変なことしてないんだけど…!」
「だから耳元で大声出すなっつってんだろ」
グダグダと会話をしながらどのくらいたっただろう。2時間は経った気がするが時計を見たら30分しか進んでいなかったのは多分此処の時計がぶっ壊れてるからだ。
ただでさえ普段から喧嘩ばっかりの二人が個室にいるとなると気まずさで耐えられなくなるだろう。
太宰は中也と顔を合わせなくなり中也も酒を飲んだあとだからか気持ち悪そうな表情をして2人とも喋らなくなっていた。
「ぅ”…」
中也がそんな短い唸り声をあげる。
チラっと顔を向けてみると手で口を多いゆっくり深呼吸をしている中也の姿があった。
「…吐きそう?」
聞くと中也はコクコクッと頭を縦に振った。
「あー…もう間に合わなさそうだな、此処に吐いていいから…中也、口開けれる?」
「ぇ…ぃ”や…ここは流石にっ”…」
「ほら、もう吐きそうになってるし…いいよ、此処、俺の部屋だから」
そう言って中也の腰に腕を回しサスサスと背中を撫でる。
中也は背中を震わせ畳に吐物を流す。
苦しい中ふっふっと短い呼吸をしながら生きているところを見ると何故か惹かれるものがあった。
「もう大丈夫そう…だよね、水とか…」
そう言いかけて声が止まった。
中也がグタリと太宰にもたれ掛かりきついのかピスピス泣いているからだ。中也好きの太宰にとっては至福でしかない時間なはずだろう。
「ちょっ…中也さん…?…”」
「ゃ…めろ…こっち見んな…」
「見ない、見ないからさ…ほら口周り拭かないと」
「ん…拭いて…」
「ッ…う”ん…」
いつもの口調は何処にいったのかと吃驚しながら、ゆっくり顔をあげさせてこっそり覗いてみると虚ろな少し赤い目から涙が零れていた。
「なんだよ”…オレだって泣くときくらいあんだよ」
「別に泣くなとは言ってないだろ…」
そう言いながら中也の頭を撫でてみる。
小さな吐息が聞こえる。
ずるっと中也の身体から力が抜けた。
部屋に来てから三時間、やっと中也は眠りに落ちたようだ。