テラーノベル
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中学一年生の春。
ヤマは部活の強豪校へ進むため、転校した。
「頑張って。」
そう言った気がする。
でも、それが最後に交わした言葉だったのかも覚えていない。
部活に集中するため、携帯も家族に預けることになったと聞いた。
連絡は、少しずつ途絶えていった。
最初は「また話せるやろ。」
そう思っていた。
でも、一週間が過ぎ、一か月が過ぎ、一年が過ぎても、その日は来なかった。
高校生になった私は、先輩と付き合った。
優しくて、真っすぐな人だった。
気づけば四年が経っていた。
周りから見れば、幸せだったと思う。
私も、この人となら幸せになれるって思おうとしていた。
でも、心のどこかにずっとヤマがいた。
何かあるたび、思い出してしまう。
公園で笑っていた顔。
照れくさそうに笑う顔。
そして、私の名前を呼ぶ声。
「伊織。」
男子はみんな苗字で呼んでいたのに。
ヤマだけは、昔から変わらず名前で呼んでくれた。
たったそれだけのことが、何年経っても忘れられなかった。
四年間付き合った彼に別れを告げた日。
理由を聞かれても、うまく説明できなかった。
ただ一つだけ、分かっていたことがある。
私の初恋は。
まだ、終わっていなかった。
コメント
1件
読み終わりました。第3話、一気に時間が飛んで「伊織」の呼び名がここで効いてくるのがすごく良かった。たったそれだけのことが、何年も心に残るって、リアルだなあ。四年間付き合った人に別れを告げるシーン、理由をうまく説明できないもどかしさが伝わってきて、胸がぎゅっとなりました。まだ終わっていない初恋、続きが気になります。
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M.S
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