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3日前から田村 明の様子がおかしい。
いつも活気に溢れている明は3日前からずっとだるそうでフラフラしている。目の下にはクマができていて、いつもより血色が悪そうだ。
部活も行かず家に帰っているらしい。
「なぁ、明。大丈夫?なんか体調良くなさそうだけど?」
「あ、あぁ。真広か。大丈夫、大丈夫。すぐ良くなるから。」
僕は明の首に二枚の絆創膏が貼ってあるのを見つけた。
「ねぇ、その首どうしたの?」
「これか?寝てる時に引っ掻いただけだよ。あんま心配すんな。」
そういうと明は足早に去って行った。
「どう考えてもおかしいよね。日に日に顔色が悪くなって行ってるし。金魚ちゃん、明を追って。」
僕は僕の周りを泳いでいる子金魚ちゃんに命じて明を追わせた。
そしてもう一人明のあとを追っている者がいる。
なんと琴巴も明のあとをつけていた。
「なんで琴巴が?」
いよいよなにかあると確信してしまった。
明はそのまま家に帰った。
そして夜もふけたころ、明は家を出た。
明はちょっと待ちはずれのバーのようなところに入っていった。
明はというか僕たちはまだお酒が飲める年頃ではない。
まさか明は悪い友達と夜遊びをしてこんなに体調悪くなってたのか?ま、まさかあの首の絆創膏はキスマークとか!?
け、けしからん!
だとしたら連れ戻さないと!
琴巴もそのバーの中に恐る恐る入っていく。
僕も子金魚ちゃんをぼくの側に戻して、バーの中を覗く。
中には外国人であろう三人の男と二人の女の人がいた。
そして、床には数人の男女が横たわっている。
「明!また来てくれたのね!」
「あぁ。は、はやく吸ってくれ…」
「うふふ。いいわよ。こっちにおいで。」
「天!」
大きな白い鷹が明と話していた女の人に襲い掛かり、顔を思いっきり鋭い爪で引っ掻いた。
「ぐぁあ!」
女の人は手で顔を覆うが、血がたらたらと手の間から垂れている。
「そこまでよ!」
隠れていた琴巴が立ち上がった。
「誰だ!」
男の一人が怒鳴り声をあげる。
「立花 琴巴。陰陽師よ。あなた達は吸血鬼ね?」
「日本のエクソシストね!よくも食事を邪魔してくれたね!あんたも吸い尽くしてやるよ!」
「明君!こっちに!その人達は吸血鬼よ!」
吸血鬼だって!?日本にいるの!?
ーぬらりひょんの権威が失墜したことによって、最近容易に入ってこれるようになったみたいですー
そうなの!?
ーはい。ぬらりひょんは妖怪界最大の勢力ですからね。外国の者の侵攻も防いでいたのですー
「知ってるよ。」
明は拳を固め、俯きながらそう言う。
「え?」
「だめなんだ。血を吸ってもらわないともうダメなんだ。」
「くっ!もう魅了されていたか!」
ドッドッドッドーン!
僕も金魚ちゃん達に命令して吸血鬼達に一斉射撃する。
「今度はなんだ!?」
男の吸血鬼が手でガードしながら言う。
「僕は明の友達だよ。琴巴、明が魅了されてるってどう言うこと?」
「真広君!?来てくれてたのね!吸血鬼の吸血には快楽と中毒性があるの。本人の意思とは関係なく、吸血し魅了された者はまた吸血されるためになんでもするわ。麻薬みたいなものよ。」
「どうすれば明を助けられるの?」
「魅了した吸血鬼を倒せば魅了は解けると聞いたことがあるわ。ごめんなさい、私も吸血鬼と戦ったことがなくてあんまり吸血鬼のこと知らないの…」
「わかった。とりあえず、この吸血鬼達を倒せばいいってことだね。」
「はは!あなた達みたいな子供に私たちがやられるとでも?」
最初に琴巴の式神の天に顔を切り裂かれた女の吸血鬼はもうすでにその傷はなく不敵に笑っている。
「悪いけど明の命がかかっているんだ。負けられないよ。」
金魚ちゃん達に絶え間なく吸血鬼達に射撃するよう命令する。
「そんなの当たらないよ。」
吸血鬼達は凄まじいスピードで金魚ちゃん達の水弾を避ける。
だが、今僕は一人じゃない。
「縛!」
琴巴が縛りつける札を一人の吸血鬼に飛ばす。
「ちぃ!」
もちろん吸血鬼はその札を避けようとするが、僕の金魚ちゃん達はその隙を見逃さない。
大金魚ちゃん2匹がタイミングを合わせて男の吸血鬼の一人に大きな水弾を打ち出す。
「ぐぁ!」
水弾は的中し、体に大きな二つの穴が開く。
「攻撃を緩めないで!こいつらの再生能力は異常よ!」
それを聞いてその吸血鬼を見ると確かに立ちあがろうとしている。
ドッドッドッドッドーン!
金魚ちゃん達にその死にかけの吸血鬼に集中攻撃を命じて、水弾でバラバラにした。
すると黒いモヤになってその吸血鬼が消えた。
あぁ、吸血鬼も黒いモヤになるんだー。
ーそんなこと言ってる場合ではありませんよ?琴巴が苦戦してます。一匹かなり強い吸血鬼が混ざってますねー
琴巴を見ると一番身長が高い男の吸血鬼に殴られて壁に飛ばされていた。
「うぐっ!」
「なかなかやるようだな。お前たちの血はうまそうだ。」