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ポテトはメモを見ながらジョセフとワトリーに報告した。
「亡くなったのはアイドルグループのセンターだったシオンさんです。
右胸を刃物で刺されており、その傷が肺にまで到達していました。」
ジョセフは顔をしかめて答えた
「肺まで……想像するだけで苦しいな。」
ポテト
「死因は失血死だったようです。それと、右腕の関節が外れていたそうです。」
ジョセフ
「関節が外れていた?一体何があったんだ……。」
ポテトは首をかしげながら
「そこまではまだわかりません。」
ジョセフは閃いたように言った
「もしかすると犯猫は、演技指導の一環とかで関節を外す練習をさせたんじゃないか?」
ポテト
「演技指導って何の演技ですか?」
ジョセフ
「……た、タコとか?」
ポテト
「アイドルが演技でタコ役はしませんよ。」
ジョセフ
「あ、あれだ!大脱出マジックだ!箱の中から抜け出す練習とか。」
ポテト
「それなら考えられるかもしれません」
ワトリーは溜め息をつきながら頭を抱えた。
「もっと真面目に考えるのだ……。」
ポテト「それと楽屋にあったシオンさんのバッグが荒らされていましたが、
金品は盗まれていないそうです」
ワトリー「何かを探していたということなのだ?」
ポテト「報告によると、一週間前、シオンさんのマンションに誰かが侵入し、
部屋を荒らしたそうです。その時も金品は盗られていませんでした。」
ジョセフは顎に手を当て、思考を巡らせた。「そうすると、嫌がらせか?」
「ストーカーかもしれませんね」とポテトが続けた。彼の目は真剣で、事態の深刻さを理解している様子だった。
ジョセフは頷きながら答えた。「今回の事件と繋がっているかもな。」
「さすが先輩です!」ポテトの声には、少しの興奮が混じっていた。彼はジョセフの洞察力を尊敬しているのだ。
ワトリーとポテトは、第一発見猫である清掃員のジムに話を聞いた。
ジムはやや落ち着かない様子で、手を落ち着きなく動かしながら答えた。
ジム
「その時は廊下の清掃をしてたんです。そしたら、突然ガシャンって音がして……。
驚いて音のしたほうを見たら、廊下の向こうで誰かが走り去るような足音が聞こえたんです。
でも、まあ、何か急いでるだけだと思って、特に気にはせず音の方に行ってみたんですよ。」
ポテト「音が聞こえたんですね」
「ええ、そしたら花瓶が割れてて。ああ、誰かがぶつかったんだなって思って、
ほうきとちりとりを取りに戻ろうとしたんです。その時、ふと気づいたんですよ。
シオンさんの楽屋のドアが、少しだけ開いてたんです。」
ワトリーが身を乗り出し、ジムの顔をじっと見つめた。
ワトリー
「ドアが開いてた?そのとき中の様子を見たのだ?」
ジム
「いや、楽屋の中までは見えませんでした。ただ、気になってドアを閉めようとしたんです。
で、少し覗き込んだら……その……シオンさんが倒れてるのが見えたんです!」
ジムは手を震わせながら続けた。
「もう、びっくりして、すぐにアレクさんを呼びに行きました。それで、
アレクさんが警察に連絡してくれたんです。私はそれ以上、怖くて中には入れませんでした。」
ワトリー
「花瓶が割れる前に、他に何か変わったことはなかったのだ?その足音の主を見たとか?」
ジムはしばらく考えるようにし、それから首を振った。
「足音は聞こえたけど、姿までは……」
ワトリー「その花瓶はどこにあるのだ?」
ジム「えっと・・・後で捨てようと思って、ごみ箱にあるけど」
ワトリー「見せてほしいのだ」
ジム「わかりました」
ジムはゴミ箱の中から割れた花瓶を取り出した。
ポテト「一応証拠品として預かりますね」
ジム「どうぞ。」
ワトリー「ジム、今日シオンの楽屋前の窓を開けた?」
ジム「今日?いいえ、私は開けてません」
ワトリー「あのまどはいつから開いていたのだ?」
ジム「朝、シオンさんの楽屋を掃除する時にも開いていたけど、朝は降ってなかったからね」
ワトリーとポテトはジムの証言を聞き
ワトリー「ジム、ありがとうなのだ。何か思い出したら教えてほしいのだ」
ジム「もちろんです。早く犯猫がみつかるといいですが」
ワトリー「ポテト、花瓶もとに戻せるのだ?」
ポテト「う、うんやってみる」と自信なさげに答えた。
その後
廊下の床や台を調べてみたが、血痕や他の異常な痕跡は見つからなかった。
ワトリーは、防犯カメラの映像を頭の中で再生していた。
サリーがシオンの楽屋を出た後、シオン自身が楽屋から出てきた。その時、
彼女は廊下にある窓を閉めた。外では冷たい雨が降り続けていたため、おそらく、
窓が開いていることに気付き、雨が吹き込むのを防ぐために閉めたのだろう。
だが、ワトリーにはどうしても引っかかる点があった。シオンが楽屋のドアを開けてから、
少し間を置いて廊下の窓を閉めに行ったという点だ。
楽屋のドアが開き、窓を確認し、閉めた。――そのタイミングのずれが妙に思えた。
ワトリーは実際の窓に目を向けた。冷たい雨の音が遠くから聞こえる中、考え込む。
「何か気になるの?」隣でポテトが聞いた。
「シオンは窓を確認したあと閉めた、それから楽屋へ戻っているのだ」とワトリーは言った。
「そりゃ、雨が降ってるんだから閉めたんじゃない」とポテトが答える。
「楽屋から出て窓だけを閉めにいった。それが引っかかるのだ。」
「……まあ確かに、雨の音が聞こえたんじゃない?」とポテトも少し疑問顔を見せる。
「それだけじゃないのだ。シオンの楽屋の床が濡れていたことも、おかしいのだ」とワトリーは続けた。
「濡れてた?水でもこぼしたんじゃないの?」ポテトは首を傾げた。
「水がこぼれていたのは机の下だったのだ。」
「机の下?……あれじゃない?机の下に入ってお水を飲もうとしたら、
こぼしちゃったとか?」ポテトは軽い調子で推理を披露する。
ワトリーはポテトの言葉を聞き流し、再び考えを巡らせる。
開いていた窓、そして机の下にあった水――これらが無関係であるとは思えなかった。
シオンの行動には、何か意図があったのではないか。犯猫の手掛かりは、きっとこの微妙なズレの中に隠されている。
映像から状況を判断すると、エイミーはシオンの死体を見つけたあと、
シオンの携帯を持ち、逃げたことになる。
ワトリーはエイミーがシオンの楽屋にくる20分間の間にシオンは殺害されていると考えていた。
しかし防犯カメラにはその姿は映っていない。
このままではエイミーが怪しまれてしまう。その前になんとしてでもエイミーの無実を証明したい
ワトリーは気持ちが押さえきれず、後の3匹の証言を取りに走った
ポテト「ワトリーまって!!」
ポテトも急いで後を追いかけていった