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シオンの遺体は検視のため運ばれ、楽屋周辺では鑑識班が現場を調査していた。
会場はショーの急遽中止を受け、シオンの死を知ったスタッフたちが忙しく
撤収作業に追われ、混乱に包まれていた。
そんな中、ジョセフとポテトは他の警察官たちと話し合いを続けていた。
しかしワトリーは独自に聞き込みを始めた。
「シオンの楽屋にお弁当を持っていった猫はどこにいるのだ?」と、スタッフに声をかける。
慌ただしく働くスタッフが「お弁当?誰かシオンさんにお弁当を持っていったやついるか?」と
周囲に呼びかけると、1匹の猫がこちらに歩いてきた。
「ボクです」と名乗ったその猫はルーカスという名の新人スタッフ。普段は雑用を任されているらしい。
ワトリーは鋭い目つきで問いかけた。「お弁当は何時に持っていったのだ?」
ルーカスは少し戸惑いながらも、「確か11時頃に楽屋へ持っていきました」と答える。
「その時、楽屋には誰かいたのだ?」
「いえ、シオンさん1匹でした。」
ワトリーは考え込みながらさらに質問を続けた。「シオンの様子はどうだったのだ?」
ルーカスは少し考え、「特に変わった様子はありませんでした。携帯を見ていました。」と冷静に答えた。
「楽屋を出たあと、不審な声や猫を見かけた?」
「いえ、すぐに会場の方へ行って、別の仕事をしていたので特に何も…」
「分かったのだ。」ワトリーは少し考え込みながら、状況を整理しようとした。
その時、ジョセフとポテトが話し合いを終え、こちらにやってきた。
ジョセフはワトリーが既に聞き込みを進めていることに気づく。「もう聞き込みをしているのか?」
「うん。早くエイミーを見つけないといけないのだ」とワトリーは焦った様子で答えた。
ジョセフはそれを理解しつつも、「そうか」と静かにうなずいた。
その時、ポテトが「お連れしました」と言って、2匹の猫を連れてきた。
アイドルのサリー、そしてメイク担当のイザベラだった。
「じゃあ、お話を聞きましょうか」とジョセフが進めようとすると、
ワトリーが口を挟んだ。「ルーカスにはもう聞いたのだ。」
次にワトリーはメイク担当のイザベラに目を向けた。
「メイクさんはどうなのだ?シオンに何か異変があったはずなのだ。」
イザベラは首を横に振りながら静かに答える。
「いいえ。でも、疲れていたのか、緊張していたのか、ずっと黙っていたわ。その後は
いつものようにメイクをして、出て行きましたよ。」
そして、次にサリーに向き直った。「サリー、君が楽屋に入った時、シオンの様子はどうだったのだ?」
サリーは少し驚いた顔をしながらも答えた。
「確かに、連日のライブで疲れていたんだと思う」
「そのあと、不審な猫を見た?」
サリーは首を振る。「特には見てないわ。」
ワトリー「シオンはいつもは元気なのか?」
サリー「いえ。いつも裏ではあんな感じだし、気にはならなかったけど」
イザベラ「そうねぇ。売れっ子だし、周りもそっとしてあげてたかな」
ワトリーは焦りが顔に出ていた。「シオンは殺されていたのだ!何かいつもと違う違和感とか、
様子が違うとか、何でもいいから思い出してほしいのだ!」
その必死さにポテトは声をかけた。「ワトリー、落ち着いて…」
ジョセフもまた、ワトリーの様子を見て、静かに促した。
「ワトリー、落ち着くんだ。友人のエイミーがいなくなって、気持ちは分かるが、焦ってはだめだ。」
ワトリーはジョセフの言葉を聞きながらも、心の中で焦りを押さえつけられない。
エイミーに疑いがかかってしまう前に、何か手がかりを掴まなければならないと感じていたのだ。
ワトリーは一呼吸し、「そうだ、みんなが楽屋に入る前と後で、廊下の窓は開いていた?」
ジョセフ「窓?」
ルーカス「開いてたかな・・・」
イザベラ「開いてたわ。雨が降ってたから気にはなったけど、そのままにしたわ」
サリー「私も、そこまで雨が強くなかったから開けてるのかなと思って」
ワトリー「わかったのだ」とメモをとった
「ねぇ、エイミーがいなくなったの?」サリーは驚きながらも落ち着いてワトリーに尋ねた。
「うん。シオンの楽屋から出て、その後行方が分からないのだ。」ワトリーは悲しそうな目で答えた。
サリーは少し考え込んだ後、静かに語り始めた。
「そう、エイミーとシオンは仲が良かったの。エイミーはモデルとして、
シオンはアイドルとして、二人でトップを目指すっていつも言ってた。
そんなエイミーがシオンを殺すなんて、ありえないわ。」
ワトリーはその言葉に力を得て、サリーに向かって真剣にうなずいた。
「ありがとう、サリー。ボクもエイミーを信じるのだ。」
その時、メイク担当のイザベラが少し躊躇いながら口を開いた。
「あの…関係ないかもしれませんけど、私が楽屋に入ったとき、シオンさん、
まだお弁当を食べてなかったんです。『出演前に食べた方がいいよ』って声をかけました。」
ワトリーは少し不思議そうな顔をした。「いつもは出されたお弁当は食べているのだ?」
「はい。でも今回は大きなイベントだったので、緊張しているのかなと思って…」イザベラは少し困惑した表情で答えた。
ワトリー「確か、お弁当は床に落ちていて、散らかっていたのだ」
ルーカス「袋に入っていたから、食べようとして出したんじゃないかな」
ワトリーはサリーに向かって「サリーが楽屋に入った時はシオンはお弁当を食べていた?」と尋ねる
サリーは「いいえ食べていなかったわ」
ジョセフ「サリーが楽屋を出て20分後にエイミーが訪ねてきている。20分あれば食べれるはずだろ
しかし弁当に口をつけた様子はない。フォークは袋に入ったままだったぞ」
その瞬間、ワトリーの頭の中で何かが閃いた。「ジョセフ、シオンの携帯は見つかったのだ?」
ジョセフは眉をひそめ、答えた。「それが、どこにも見当たらないんだ。」
ポテトが思い出したように言った。
「やっぱりエイミーが持ち去ったのかな」
ワトリーはその言葉を聞くと、胸がざわついた。
エイミーがシオンの携帯を持ち去っていた可能性がある。エイミーは何かを知っているのか?
それとも何かに巻き込まれてしまったのか?謎は深まるばかりだったが、
ワトリーは決してエイミーを疑うことはできなかった。
「ボクはエイミーを信じるのだ。犯猫を見つけ出して、真実を突き止める。」
ワトリーの瞳には強い決意が宿っていた。