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「あ、浩人髪切ってるやん」
「ほんまや」
ブルペンで投球練習を行い外の空気を吸おうとグラウンドに出たところ正面から村上と風見がこちらに向かってきていた。
本命の風見よりも先に村上に気づかれたことに今日も口を尖らせる才木。
「短い方が爽やかでいいね。」
「ほんま?」
「うん、すっごく似合ってますよ」
タメ口混じりの舐めた態度を取る風見に気づくことなくただ褒められたことに対してしか意識が向いていない才木を村上と風見は顔を見合せて苦笑いを浮かべていた。
「頌樹、これから投球練習?」
「その予定」
「風見は?ノックとかちゃうん」
急に話題を振られた風見ははっとして才木と村上を見上げる。
「多分そろそろっす!」
ぼーっとしていたのだろう。
そんな中で急に焦点が向けられたことでこんなに驚いたのなら納得がいく。
「すみません、ぼーっとしてました」
「いや、全然ええけど…体調悪い?」
「元気っす!多分疲れてきてますねこれ」
心配そうに見つめる才木に気づき村上は風見の背中を軽く押す。
「無理すんなよ」
「はい!頌樹さんも浩人さんも頑張ってください!!キャンプ終わったら食べに行きましょ」
「頌樹さん、ご馳走様です」
「いやお前が払えや!」
肘で互いにつつき合いながら離れていく2人の背中を確認して風見は汗を拭う。
今朝から少しだけぼーっとしてしまう。
恐らく暑さのせいだと判断し肩にかけていたタオルで額の汗を拭うと小走りでベンチの水を取りに駆け始めた。
癖のある特徴的な髪を揺らしながらフラフラと駆けていく風見を振り向きざまに見つけて才木は首を傾げた。
「なぁ、なんか変な感じせん?あいつ」
「変?」
才木に言われて振り返った村上。
その視線の先には少しフラつきながら離れていく風見。
「…ん〜、あんなんやない?」
「ほんま?…そー言われたらそうかも」
「お前は過保護すぎんねん。風見が他の奴と喋っただけで拗ねとるの顔でとるし」
指摘されたことがあまりに図星すぎて才木は何も言い返せずにいた。
この過保護すぎとも言える気持ちが何なのか、恐らく才木は気づかないでいる。