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ああ、私って幸せ者だ
さっきまで親には虐待をうけ、学校では無理して笑って虐められて。勉強も運動もできなくて。その上同性にまで恋をして。それもネット内で。もう死のうと思うぐらい絶望してた。でも今は、今は同性の好きな子と両想いで、付き合えて恋人になって。苦しさと幸せは釣り合ってないけど私にとってものすごい幸せなんだ。
「はぁぁっ夢じゃないよな、夢でも嬉しいけどさ!!」
ベットの上でスマホを開き付き合えた喜びを噛み締める。
(まじで可愛いんだけど、大好きだわほんとに。私だけの__なんだ、最高すぎる笑)
『ほんとに嬉しい!』
「私も笑!まじで嬉しい!」
メッセージだけだが何を話してもそこからはとても楽しかった。
夜寝るときはおやすみを伝えて、大好きと伝えて。
朝起きたらおはよって言って。当たり前のように褒めあったり可愛がったり大好きって言ったり。嬉しかった、とっても。
でも、
それ以外は変わらなかった。
虐待は続き、虐めも続き、馬鹿にされてイジられて。勉強も運動もやっぱりできなくて。幸せでも、気を抜くと頭の中が「死にたい」でいっぱいになった。
だから現実から目を逸らして、__だけにすがった。
そういえば1カ月記念日はお互い忘れてて笑い合ったっけ。1カ月記念日だって言ってもネットだしなにも出ないなかったよな〜笑
でも言ってくれたよね、大好きだっていっぱい。いっぱい言ってくれたよね
あれ嬉しかった、めっちゃ嬉しかった笑
あっという間に時間が過ぎた、いよいよ2か月記念日だ。
「ま、あとちょっとつっても5日ぐらいあるんだけどね笑」
ぽつりと独り言が溢れる
「あー、今連絡したら返してくれるかな…」
寂しくなって彼女のトーク欄を開く
話したいな、でも忙しいかな…?嫌だな誰かと話してるのかな。やめてほしい、
自覚してたけど結構独占欲が強い私。束縛も多々…笑でも彼女は受け入れてくれた。そういう彼女が好きなんだ
『もう帰ってきたかな?お疲れ様!今日も頑張ったね』
「…よし、これで送信っと、」
ポチッ
スマホの電源を落としてぼーっと外を見る
「は〜…なんか今日は嫌な予感するや。だるー笑」
言っちゃなんだがこういう時の勘こそ外れないものはないのだ。嫌な予感だけ外さない自信があるっていいほどに笑
ピロンッ♪
「__さんからの未読メッセージがあります」
(!!!返信早いじゃん笑、嬉しいんだけど)
『ありがとう!』
『ちょっと伝えたいことあるんだけどいい?』
(、?なんだろ)
「いいよー笑!」
「電話する?」
『そうだね!電話がいいな』
「おけ、かけまーす!」
プルルルルプルルルルプルルル ピッ
「よかったよかった、__出てきてくれた」
忙しいのに無理に出るのはやめてほしかったので少し安堵する
「もしもーし、__?」
『あ、もしもし笑?』
「よかった、聞こえてた笑」
『あ、う、うん』
「ところで伝えたいことってなあに?」
『……えっと、、、』
暫くの沈黙が流れる
心底、私は好奇心で聞くんじゃなかったと。後で思った。
そしてすぐに心配になり声をかけようと思ったその時だ。
“別れよ”
「え、?」
確かに電話越しにはそう聞こえた。
ハッキリと。
__の口から”別れよ”と、聞こえた。
『友達に、戻ろ、?』
「は、え、?なんで、?なんかした私?」
『そういうのじゃなくて、もう嘘つきたくない、から、』
嘘、?なんだ嘘って、なにをついてた、?
わからない、わからない、
「嘘ってなに、?別に私嘘つかれてもいいよ、?!どんな嘘でも受け止めるかr」
『違うんだって、!』
食い気味に否定をされて少し息が詰まる
「な、なにが違うん、?」
『もう、これ以上嘘ついて”私を”嫌いになりたくないんだよ、っ』
は、?私を、?自分を嫌いになりたくないってこと、?
わからない、わからない。意味がわからない。なんで、?なんで嫌いになりたくないから私を切り離すの、?
わからない、わからないわからないわからない
「そ、っか、」
「わかった、そのかわりさ、」
苦しい、叫びたい。その気持ちを押し殺し、絞り出した声で伝える
「自分のこと大切にしてね」
『、うん、そうするね。』
頭が理解する前にはそういって終わった。
私にはわからなかった
今起こったことも
なんでこれが起きたのかも
でも、ただ。
最後まで弱みは見せちゃ駄目だから
深くその場では考えなかった
『これからは友達として、ね!』
「う、ん」
『話せたらまた話そうね〜!』
「そうだね」
『じゃあ、またね』
「…うん、」
プツン…
そこで通話は切った。いや、切られた
もうよくわからなかった。
私の目からは大粒の涙が零れ落ちつづける
理解するより先に感情が押し上げてきて
今はただ泣いていたかった
今は、今だけは
私の好きにさせて欲しかったんだ。
それから1カ月経った。
別れを告げた直後から私の精神はまともではなかった。
毎日虐めや虐待を受けて
幸せの1つや2つはなくて
唯一すがった恋人には捨てられて
もう生きる価値がほんとに消えたんだ
「もう、疲れたんだ」
でもおかしなことに死にたいとは言わなかった
まだ、まだもしかしたら誰かが私を必要としてるかもしれないと思って。
それに賭けて、死にたいって思わなかった。
でも無理だった
『速報です。〇〇市✕✕町の歩道橋で落下死した少女が見つかりました。警察は恐らく”自✘”を図ったものだと捜査を進めています。目撃者からは__』
TVに流れた情報だった。その自✘をした少女の名前を見た瞬間、目の前から色が、音が全部消えた。
その名前は私の、私の唯一の親友のものだったのだ。
学校が変わりもう会えないけど連絡をとっていた。私を必要としてくれると信じてた唯一の子、それはこの親友ただ一人だと思っていた。
「うそ、うそうそうそうそ、やめろ、私を、私を一人にすんなよ、すんじゃねぇよ、!」
激しい頭痛に襲われた、目眩すらした。でもそれでも目の前の事実を受け入れることしかできなくて。
その時、通知がなった。
十分前に送られたものだった、通知を切っていたので今来たのだろう
「誰、?」
スマホを開くとその送り主は
親友だった。
亡くなる前に私になにか送ったのだろうか。
理由もわからず無意識にそれを開いた
親友から届いたのは長文の”遺書”だった
そしてそれを読み進めた。でも私の目に止まったのはこの文のみだった
『もし、もし貴方も辛いなら。私と一緒にさ死んじゃおうよ、だめかな、?』
多分正気じゃない文だ、普通ならありえないと思う。でも私は違った
「……分かったよ、今いくからね」
色々限界だったんだ、幸せすらなくなって絶望のどん底で。なにも希望が見えなくなった。
もう失うものもない。
固く決意をして私は歩道橋へ向かった。
警察が沢山いて、入りにくそうだった
だから警察が警備の隙を見せるまで待った
めんどくさかったし、それに人が多いのも嫌だったから
ふと、待ってる間に頭に過った人物がいた
それは__だった。
元恋人、今友達の、密かにまだ好きな人。
「どうせ最後だ、電話ぐらいしても叱られねぇよな、笑」
ほんの出来心で電話をした。
『もしもしー?どしたー?』
変わっちゃったな、恋人の時と違ってほんとにしゃべり方も違う、
「あーいや、ちょっと伝えたいことあってさ」
勝手に口が動いた、言い訳に過ぎなかった
すごく最低かもしれない、でも
私が今から死ぬということは__だけに知っていてほしいから。
『ん、いーよいーよ、聞く』
「ありがと笑、ちょっと待っててね」
警備の隙ができた。それに気づくと私は素早くミュートにして歩道橋を上り始めた。
警察は他の野次馬を相手にしてて私には気づかなかった。
「ん、聞こえる?」
『うん聞こえるよ』
ミュートを外してスピーカーで電話をしながら階段を一歩ずつ登る
『それで…伝えたいことって何?』
歩道橋の真ん中に仁王立ちになり深呼吸をする
「今からさ、私死ぬんだ」
『……え、?』
訳が分からないだろう、伝えたいことが想像の斜め上を行くのは当たり前だ。
『え、死ぬって、病気?』
「ううん、自✘。」
さらっとそんな事を言いながら歩道橋の柵を乗り越え、縁に足をかける。
『え、うそやめて、やめて、!今からでも間に合うから、だから』
「__。」
『、?な、に?』
「もう、間に合わないんだよ。」
もう、手遅れなんだ、救いようがない
君には死ぬということだけ伝えたかっただけだった。でも、口にしたのはそれだけじゃなかった
『え、あ、やめて、今すぐ、ほんとに、』
「最期にこれだけ伝えとくわ」
『最期なんかじゃ、』
「”愛してる”私、まだ__の事好きだから、ずっと好きだから」
柵の手すりにスマホを起きいつでも飛び降りれるようにする
警察はやっと気づいたみたいだった、慌てて私の方へ登ってくる
「ごめんね、もう時間ねぇや。これでお別れ。バイバイ」
私は、そう、__に向けて言った
それと同時に私はしがみついていた手を離した。
風が耳に当たってヒュルヒュルと音を立てる。ほんの数秒だった。でも電話から聞こえた言葉がそれを揺るがせた。
『…______!』
……ああ、嘘でしょ、
なんで今言うんだよ、っ
遅いよ、
グシャァッ
耳元には自分の体が潰れる音が聞こえた。
悲鳴をあげれないほどの痛みが体を襲う
周りからは大きな悲鳴とシャッター音が聞こえた。
すぐに痛みは引いた
いや、感覚がなくなったのほうが正しい。ほんとに私は死ぬのだ。そう確信した。
「ったく、、、なん、で、あんなこと、死ぬ直前言うかな、っ」
私が飛び降りた直後。電話からは彼女の声がした。その声はこう、言っていたのだ
「”私も愛してる、ずっと”、な、て、、あの時、いうかなあ、」
ああ、死ぬの怖いな
まだ私必要とされてたのになんてことしたんだ。また、またあの幸せを掴み取れるはずだったのに
でももう遅かった。もう私の体は原型をとどめていないほどぐちゃぐちゃ。意識も段々と遠のいていく。
案外幸せってすぐ壊れるもんだったんだな、
んで、案外幸せって簡単に取り戻せるものだったんだ。
ああ、神様。
お願いです
「今度、今度もう一度生まれることができたなら、っもう一度、私を__の恋人にしてください、、っ」
目の前が涙で滲む、昼間の太陽は死にかけの私をさんさんと照らす
私はその時
始めて、最初にして最期の
本当の笑顔を零して眠りについた。