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それから、私は仕事は続けていたけれど雅弥とは個人的に会うようになった。
「店だとお金かかるし、私も会いたいから。」
そう伝えると、雅弥は嬉しそうだった
この時私は24歳、雅弥は28歳だった。
私がそんな仕事をしている理由を
雅弥は出逢ってから一年後に聞いてきた。
「翔音は派手に遊んだり、高額な買い物なんかしないから、きっと事情があってあの仕事をやってるのは分かってたけど、俺が踏み込んでいいものか分からなくて聞けなかった。」
そんな前振りをして。
「ふふふ。
ずっと聞かれないの、不思議に思ってた。
雅弥って優しいよね」
私が風俗で働いていたのは、兄の死で家族に振りかかった賠償金のためだった。
そして、それはもう完済している。
――1800万円
母子家庭の我が家で払えるわけもないその負債は、私が稼ぐと母には公言していた。
母も私がこういうような世界に堕ちたのは知っているだろうが、聞かなかった。
兄の安易な選択は、家族を根底から壊してくれた。
そして、私は賠償金を完済してからも蓄えを作っていた。
ここまでの話を聞きながら、雅弥は苦しげな表情をしていた。
「そうか……そんな大金を……。でも、返し終わったのに蓄えをそんな必死に作るその理由は?」
「見返してやりたい女がいるんだよね」
「見返して、やりたい?」
「ふふ、あのね私の彼氏を奪った親友」
それを聞いて雅弥は顔をしかめた
「それは、親友……っていうの?」
「そうよ。彼女は昔から大親友なの。すごく可愛い子なのよ?だから、私の彼氏は彼女に会わせるといつの間にか彼女を口説いてるの」
私はおかしそうに笑った。
だけど、雅弥は私の目を覗き込んで
「よほど、大切な人を奪われたんだね」
「そうね。あの子のせいで、ボロボロよ」
雅弥は、クスクスと笑う私の頭を抱き寄せてきた。
「翔音、強がらないで。目が全然笑ってないよ」
うん、笑えない。
初恋の人も、兄の死で苦しい時にそばにいてくれた人も……
和香那にぜーんぶ奪われたしね。
和香那
あんたを地獄に落としてやる。
死んだ方がマシって思うくらい追い詰めてやる
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