コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
石を投げられて脳震盪
主は街に買い物に来ていた。
お供は銀行に用事のあったナックと本屋に行くところだったフェネスだ。
「主様、俺の側を離れないでくださいね!」
「絶対に主様をお守りしますので、安易に危険に飛び込まないで下さいね!」
2人に馬車の中でしっかりと釘を刺されて、主は渋々返事をした。
『はーい・・・でも、私は生き返るけど2人は生き返れないんだから、何かあったら置いて逃げて良いんだよ?』
「「そんなことできません!!」」
『そ、そうかぁ・・・』
ナックは先に銀行に向かい、フェネスと主の2人で店を見て回ることになった。
『フェネス、あっちのお菓子屋さんってハウレスがよく行ってるお店だよね?』
「そうですよ。いまなら期間限定の商品もあるみたいですから、覗いてみましょうか?」
近道で一本裏道に入ると、悪魔執事をよく思っていない人たちにばったり出くわしてしまった。
「な、お前は!!」
「!しまった、主様、逃げましょう!」
「逃がすか!!」
2人は大通りに抜けて人混みを掻き分けながら逃げる。
「悪魔執事が居るぞ!」
「主も一緒だ!!」
そう叫ぶ連中のせいで周りはあっという間に敵意を持った人たちに囲まれてしまった。
『フェネス、逃げて良いよ。後で死体回収しに来て』
「そんなことできません!!」
そんな2人の会話を聞いた男たちは主を殺せと騒ぎ出し、石を投げつけてきた。
フェネスは必死に主を抱きしめて庇うが、頭に石が当たって気を失ってしまった。
フェネスに群がる男たちから必死にフェネスを隠す主の頭にも大きな石が投げつけられた。
主も気を失い、その後もずっと石をぶつけられ続けて死んでしまった。
主が目覚めたのは馬車の中だった。
隣には泣いているフェネス、正面には苛立ちを隠せないナックが座っていた。
『あ・・・ナックが助けてくれたの?』
「主様!・・・はい、そうです・・・」
「主様・・・申し訳ありませんでした・・・主様に庇っていただくなんて・・・」
『良いの良いの!フェネスが助かるなら何度だって死ぬよ!』
そう言うとナックから腕を引かれた。
「主様・・・いけません。そう簡単に死ぬだなんて言わないでください」
「そうですよ!それに、主様を守るのが俺達の仕事なんです!主様を守って死ねるだなんて、これ以上光栄なことはありません!」
『やめてよ、そんなこと言わないで』
フェネスの本気の目が怖くなり、主はフェネスを止める。
「・・・同じ気持ちです。さっきの主様の気持ちが、いつも俺達が感じている気持ちです」
「はい。ですからもう簡単に命を投げ出さないでください。
貴方がいくらでも生き返ると知っていても、主様が死ぬところなど見たくありませんから」
『・・・ごめんね』
それから、主の死ぬ頻度がほんのちょっとだけ下がったらしい。