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#極道
鷹槻れん

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ウェイターさんの案内について、私は佳穂さんに手を引かれるまま、修太郎さんと健二さんをチラチラと振り返りながら前進する。
そんな私に修太郎さんが手を伸ばされるのを、健二さんが「無駄だよ」という風に首を緩々と振っておられるのがとても印象的だった。
(佳穂さんには、お二人とも敵わないのでしょうか?)
そう思ってしまった。
***
私の隣に佳穂さん、正面に修太郎さん、佳穂さんの向かいに健二さんという席順で座る。
どの席も、円形になった床の窓辺に沿うように長方形のテーブルが配置されていて、少し話している間にもほんの少しずつフロアが回転して景色がズレていっているのが分かった。
高所があまり得意ではない私は、佳穂さんにお願いして窓際を彼女に譲る。
佳穂さんは「絶景ねー」ととても嬉しそうで、「日織ちゃんももっと近くで楽しめたらいいのにね」と眉根を寄せた。
いつの間にか日織さんが日織ちゃんになっていて、その人懐っこさが佳穂さんらしさなのかな、と微笑ましく思う。
私にはこんな風にすぐに人と打ち解ける能力がない。
(佳穂さんって、すっごくすっごく明るくて……温かな、太陽のような人なのですっ!)
余りにも素敵な女性だから……佳穂さんのことを修太郎さんが選んだとしても、仕方がないような、そんな気持ちがしてしまう。
私はちらりと修太郎さんを盗み見て小さくため息を落とした。
「日織さん?」
そんな私の様子に目敏くお気付きになられる修太郎さんが、愛しくもあり、恨めしくもあって……。
「な、なんでもありません」
小さくそう呟くように返すと、修太郎さんが佳穂さんに視線を転じた。
「佳穂、日織さんの隣を譲ってくれないか?」
ここを予約した際に、コース料理も一緒に頼んであったみたいで、オーダーは飲み物だけ尋ねられた。
それらも含めてまだ何も運ばれてきていない状態だったので、修太郎さんは今のうちに、と思われたのかもしれない。
「えー? こんなに景色いいのに?」
言いながらも、佳穂さんはすぐにニコリと笑うと、「じゃあ健二、修太郎が座ってた側にずれて。私、健二が座ってるところがいい」と仰る。
気持ちの切り替えが早いというか、機転がきくというか。強引さのなかにもどこか憎めないところが感じられてしまう。
「相変わらずワガママな女だな」
言いながら、健二さんもそれほどお嫌ではないのか、スッと席をお立ちになられた。
結局私以外の皆さんが席を代わられて、私の左隣――窓側――に修太郎さん、その正面に佳穂さん、佳穂さんの左隣に健二さんで落ち着いた。
「言っとくけどワガママなのは私じゃなくて修太郎よ?」
席に着くなり佳穂さんが修太郎さんを見てそう仰る。
確かに今回のこの大移動は元を正せば修太郎さんの言葉に端を発したわけで。
でも、それだって考えてみたら、私の溜め息が原因だった。
「ご、ごめんなさい……」
そう思い至って皆さんに頭を下げると、佳穂さんに笑われてしまった。
「ちょっとなんで日織ちゃんが謝るのっ?」
言いながら本当、可愛い……と付け加えられて、私はドギマギしてしまう。
「そもそも論で言うなら、僕からキミを奪い去った佳穂が悪い。日織さんは何も気にすることありませんよ?」
修太郎さんに優しく微笑まれたことが、一層ソワソワした気持ちに拍車をかけて……。
「しゅ、修太郎さん……っ」
(佳穂さんの前でそんなに私を甘やかさないで頂きたいのですっ。私、貴方にふられた時を思うと、その優しさが却って辛くなってしまうのですっ)
私は心の中でそうつぶやいた。
コメント
2件
修太郎さん、かほさんには言葉遣いがぞんざいな気がする!(笑)
うわあ…また切ない空気が流れてるね😢 佳穂さんが太陽みたいに明るくて魅力的だからこそ、日織ちゃんの「選ばれなかったらどうしよう」っていう不安がより胸に刺さるよ。 席の移動で修太郎さんが日織ちゃんの隣に来てくれたのに、逆に「甘やかさないで…」ってなるの、恋する気持ちの複雑さだなあ。 健二さんの「無駄だよ」って首振りも微笑ましかった🥀 続き、どうなっちゃうんだろう…!