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#極道
鷹槻れん

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「健二からちらりと小耳に挟んではいたけれど……聞きしに勝る溺愛ぶりね、修太郎。ずっと恋焦がれていた日織ちゃんが手に入ったのがそんなに嬉しい?」
私を守るように佳穂さんを牽制した修太郎さんに、彼女がくすくす笑ってそうおっしゃる。
私は佳穂さんのそのセリフにちょっぴり驚いてしまった。「佳穂さんを差し置いて私なんかがこんなっ。本当にごめんなさいっ」と謝ってしまいそうになって、でもそれは何だか違う気がして、
「あのっ、佳穂さんは……もしかして私が修太郎さんとお付き合いさせていただきたいと思っていることを……ご存知なんですか?」
恐る恐るそう口を開いたら、佳穂さんが心底びっくりなさったように瞳を見開かれた。
「わ、私っ、また何か変なことを言ってしまいましたでしょうか?」
オロオロとしながらそう言ったら、佳穂さんが健二さんと瞳を見交わして、次の瞬間「もぉー、日織ちゃんったらぁ~!」と笑い出してしまわれる。
えっ? えっ?……とパニックになりそうな私の手を、横から修太郎さんがそっと握ってくださった。
私は修太郎さんのお顔を見て、ほんの少し気持ちが落ち着いてくる。
そこで、ウェイターさんが飲み物と前菜を持ってきてくださる。
修太郎さんと健二さんは各々お車でいらしているということで、ガス入りのミネラルウォーターを頼まれて、私もお酒は懲り懲りなので、お二人と同じものにさせていただいた。
佳穂さんは、「えー? みんな飲まないの?」と言いながら、一人だけしっかりシードルを頼んでいらした。
「ホントはビールが飲みたいんだけどね」とウィンクなさるのがとても好印象で。
(佳穂さんは私みたいにお酒で失敗なさることはないんだろうなぁ)と羨ましくすら思ってしまった。
各々の前に飲み物と前菜――サーモンのマリネ――が置かれる。
みんなでグラスを持って、乾杯をして……。
私はそのあと一人手を合わせていただきます、と小声でつぶやいた。修太郎さんが、それにあわせていただきます、をしてくださったのが何だかすごく嬉しく思えてしまう。
いただきますをしたあと、緊張からか喉が渇いてしまって、もう一口だけ炭酸水を口に含んでからグラスをテーブルに戻したら、
「ね、日織ちゃんは私のこと、どんな存在だと思ってる?」
健二と幼なじみだということはさっき話したわよね、と佳穂さんが尋ねていらした。
私は彼女からの突然の質問に、グラスから手を放せないまま、動きを止める。
どんな……の中にはこの面子で集まるこの場へ、どうして佳穂さんが同席なさっておられるのか?という意味も含まれているんだと思った。
「あ、……あの、違っていたら申し訳ありません。佳穂さんは……その……修太郎さんの許婚さんかな?って……そう、思ってます」
グラスにかけたままの指先にグッと力を入れてそう言ったら、それに気付いた修太郎さんが私からグラスを取り上げてしまわれる。
「日織さん。――だとしたら、貴女は僕との交際を諦めてしまおう、とか思っておられますか?」
さっきから私の様子に気付いていらした修太郎さんが、ストレートにそう聞いていらして……。
やはりお二人の関係はそうなのかな?と思ったら、私は息が苦しくて堪らなくなった。
「お、お二人は……とてもっ、とてもお似合いだな……って思うのです……。佳穂さん、凄く素敵な女性ですし、私、さっきお会いしたばかりですけど……佳穂さんが……大好きになりましたっ」
佳穂さんをひと目みた瞬間から、ずっと思っていたことを吐き出すように言葉にしたら、鼻の奥が痛くなって、目端にジワッと涙が浮いてきてしまう。
コメント
2件
ひおりちゃん、かわいいなぁ。
うわあ、このシーン、めちゃくちゃもどかしくて胸が締め付けられました……。日織ちゃんが「自分なんか」って縮こまっちゃうところ、読んでてこっちまで切なくなります。でも最後に「佳穂さんが大好きになりました」って涙目で言い切るのが、もう本当に日織ちゃんらしくて、じーんときた。修太郎さんのさりげないフォローも、佳穂さんの余裕ある大人の魅力も、キャラの魅力がぎゅっと詰まった回でしたね。続きが気になる!