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次の日。春海は拾ってきた子猫に『あずき』と名付けた。多少の模様はあるものの、全体的に小豆みたいな色をしているからである。
「あずきー」
って呼ぶと、あずきは必ず春海の方を振り向いて、甲高い声で鳴く。
「あずきは、可愛い?」
「にゃん」
やっぱり、あずきを拾って良かった。しかしその反面、色々と大変な事もある。あずきは毎朝、春海のランドセルで踏み踏みしたり、窓辺でうるさいくらいにクラッキングをしたりする。そのお陰で、春海の遅刻日数も多くなってしまった。それに、捨て猫を保護しているという理由だけで、徐々に春海を虐める人物も多くなってしまった。春海は徐々に面倒臭さを覚えるようになった。春海はもう耐えきれなくなって、あずきを再び捨て猫に戻そうと考える事さえもあった。しかしそんな考えに従っていては、自分が猫を拾った意味、自分の価値観すらも無くしてしまうかもしれないと、春海は不安になった。そこで、春海は図書館に行って、猫について色々と調べることにした。春海の机の上には、猫に関する本が雪崩かけていた、その時。
「何!?」
あずきが机の上に飛び乗って、春海の調べ物の邪魔をする。これは世間一般的にはあるあるだが、あずきの場合はいきなりすぎるし、しかも外を眺めるかと思ったら、春海の膝の上に座りっぱなしで、なかなか引き下がらない。可愛いけど、ところどころ厄介な猫だ。
「あずき…」
あずきはまるでとぼけているような目で、春海を見つめる。そんなあずきの仕草に、春海は改めて好感を持った。