テラーノベル
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あぁ、なんかエモい
毎日、一定時間に、風鈴が動いたら、音が鳴る。
私は、ずっと、同じ部屋で、動く風鈴の音を聞いている。
毎日、同じ時に聞いて、同じ時に部屋を出ていく。
こんな毎日だったけど、ずっと動く風鈴と風鈴の音を聞いていたくってしょうがなかった。
しかし、ある日、風鈴の動きと音が止まった。
なんの前触れもなく、唐突に。
ある夏の日だった。
花火がちょうど川岸の方から聞こえてきた。
風鈴は、まるで役目を終えたかのように、動かなかった。鳴らなかった。
私は、膝から崩れ落ちた。そして、たくさん泣いた。
枯れてしまう程に。涙が出なくなるまで。
もう二度とあの音が聞けないのだと。
もう二度と動かないのだと。
風鈴の持ち主は、優しく、嬉しそうに、涙を浮かべながら、微笑んでいた。
夜空に咲いていた花火が、風鈴の持ち主の周りにたくさん咲いていた。
綺麗な色だった。風鈴の持ち主にどれもピッタリな色だった。
最後に、白いユリの花が打ち上がった。
でも、風鈴は無かったかのように、日々が過ぎていく。
もう動かない風鈴を、音が鳴らない風鈴を、私はいつまで待っている?
いつの日か、君は私に、新しい音を教えてくれた。
その日から、私は、いつの間にか、風鈴の動きを、音を、聞いてから寝るようになっていった。
意味なんて特に無かった。
でも、いつからか私のなんの変哲のない日常の一部になっていった。
そして、眼の前の風鈴が鳴らなくなっても、動かなくなっても
君が教えてくれた風鈴一つの音と動きは、今でも、私の一部として、生きている。