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中原視点
何時もどうりに終わると思っていた今日が、首領の呼び出しでそうも行かなくなった。
呼ばれたのであれば致し方ない、行かなければ俺の首から上と首から下が顔を合わせることになる、どうせ追加の資料か任務だろうが……全く、青鯖が居なくなってから余計にそんな事が増えて頭を抱える。
そんな事を考えながら首領室の前まで来た、ノックをするが応答がない…こういう時は何も考えず無言で開けろと姐さんに教わった。
開ければ案の定幼女、改めエリス嬢を追いかけ回していた。
「来ないでよ!リンタロウ!」
「そんな事を言わないで〜…ね!後一着!後一着だから〜!」
「……首領、中原です」
俺がそう声をかけると、先程までエリス嬢に向けていた顔から打って変わり、素早い動きで椅子に座り手をいつもの様に組んだ…切り替えの早い人だと心底から思う。
「中也君、君は何も見ていない。そうだろう」
「はい……所で首領、俺を呼んだ訳とは」
『
正直『はい』以外の言葉があの瞬間は許されないと悟り、本題に入ることにした。
「嗚呼そうそう、其れなんだけどね、
中也君、子供の扱いには慣れているかい?」
子供?まぁちっちぇ頃の芥川や、最近だと鏡花なんかと時々接したが、『慣れている』とまで言える事をしていない
「実はねェ、少し変わった子を預かった…と言うより誘拐して来たって表現の方が正しいのだけど
軍警の方に渡ると少し面倒でねェ」
嗚呼、でもとても物静かでしっかりした子だよ! と付け足されたが理解が追いつかない頭には入らなかった。……思ったよりも面倒そうな案件らしい
「…その子供は今何処に?」
「ン?あぁ、隣の部屋に居るよ。凄いよね〜、人が居ると全く感じない」
「……」
黙るしかなかった。隣の部屋に居る?にしたら可笑しい、気配が全くしない、と言うより感じない。たかが子供だ。首領の冗談だとしか受け取る事が出来ない
「元を辿ると他国の内戦に送られた…言ってしまえば少年兵だ。
内戦が終わり、その国の軍病院から日本の軍病院に運ばれる輸送船を港に止まった所を攻めて持ち帰って来たんだ……あ!これその子に関する資料ね」
「…つまり、俺に元軍人の前線復帰までのお守りを頼みたいと?」
「率直に言ってしまえばそうだ。でもね〜……私はあまり前線復帰はして欲しくないんだよ。
命令をすればどんな事でもこなす。そんなていの良い『道具』今迄なら喜んで前線に出したと言うのに……」
椅子から立ち上がり机を撫でる。そんな動作を見る首領の目は何処が覇気がなかった。
まぁ良い!取り敢えず呼んでみよう! と態とらしく言われ我に帰った。
「おいで〜、櫻君!ああゆっくりで良いよ!」
先程とは打って変わりまるで孫を呼ぶかのような…嫌、どちらかと言えばエリス嬢を呼ぶ時に近い。そんな事を思っているとエリス嬢に手を引かれながら軍服を着た少年?が出てきた。
「ユズ!もっと胸を張って歩きなさい!折角のキレイな顔が見えないわ!」
「もォ〜、エリスちゃん、急かしちゃ駄目だろう
漸く数日前歩けるようになったばかりなんだから」
「だって何時も俯いてのよ!ほら前向いて!」
そう言われ徐々に顔が上がってきた。
正直言って言葉を失った。第一の感想として先ず【綺麗だ】と思った。色素の薄い髪に碧眼…
どこぞの西洋人形だと言われても疑いはしないだろう。
第二にその傷の多さに驚いた、右腕が折れているのが固定され、顔にも首にも…見える肌の部分全てに何らかの傷があった。
「櫻君、昨日紹介すると言った中原中也君だ
此処、ポートマフィアの五大幹部をしながら我々の面倒も見てくれる、言わばお母さんだ」
「首領、余計な事はいいですから。ゴホンッ 改めて、中原中也だ。
これから手前の面倒を見る事になった。よろしくな」
子供が相手と言う事もありあまり威圧せず、怖がられないようにと気を張っている俺に
折れていない方の腕でキレイな敬礼をしながら目の前に居る俺に自己紹介を始めた
「櫻ゆずと申します。不束者ですが幹部殿のご迷惑にはなりません故。
よろしくお願い致します。」
声を聞き、尚更驚かされた、程よく低いが矢張り子供だと分かる程には高かった。
そしてまた一つ驚いた。自己紹介が最低限過ぎるのだ。もっとこう有るだろ!好きな物だとか! 趣味だとか!と心の中で突っ込んでしまった。
「まぁ、最初にしては上出来の挨拶かな、私の時は筆談だったし…」
泣きそうな首領が取り敢えず! と叫び
「二人でしばらく生活してくれ給え!金曜日に様子を聞くから!
櫻君、こちらで小銃は預かるから!」
……と半ば強制的に扉の外に出された
少し気まずい、こう言うのは樋口等が適任だと思うが、
「付いて来い。取り敢えず俺の仕事部屋行くぞ」
と歩き出そうとしたが、突然扉が開き首領に「今日はもう帰っちゃって良いよ!」 と物凄い笑顔で言われ扉が閉められた。
「…取り敢えず帰るぞ。帰ったら先ず風呂な」
「了解しました」
返事はする。だが余りにも簡潔てきだ。……表情が変わんねェ、今何を考えているのかすら読み取れない。本当に人形なのではないかと疑わしい。だが瞬きだってした、見える傷だって、見ているだけで痛々しい。
「幹部殿、雨が降っております。丸腰で行っては濡れて仕舞います」
雨…言われて上を見た。確かに振っていた、其れにいつの間にか自分が空が見える場所まで技ていることにまた驚いた。今日は驚いてばかりだ
「こんぐらいなら大丈夫だ、別に歩いて帰る訳でもねェしな」
「、そうでしたか、申し訳ありません」
普通こんな事で謝るか?まぁ良い、これからどうにかしていけば良い話だ。
「ほら、さっさと乗れ。風邪ひかれちゃ困る」
「私が乗っては座席が汚れます。私は徒歩で」
「だぁぁッ!風邪ひかれちゃ困るつってんだろ!大人しく乗っとけ」
「、理解しました」
全く
其れこそ歩いて帰らせただなんて知られたら、そここそ俺の首が飛ぶ。
取り敢えず助手席に座らせる。と言うか詰め込む
「動くぞ、シートベルトしたか?」
「問題ありません」
本当に返しが単調だ、なんて思いながら車を走らせる。
信号で止まるたび、アイツを横目で観察する。窓の外を見つめる俺の瞳より数段薄い、例えるなら春の青空みたいな瞳…右目を包帯で覆っていると昔のアイツを思い出す。
「……なぁ」
「どうされました」
「今日、何が食いたい?出来る限りで作ってやる」
「所存、最悪三日は何も食せずとも問題なく動作します」
「よし、取り敢えずうどんな。安心しろ、とびきり美味いの作ってやる」
「……」
よし、勝った。何も食わなくても平気だァ?んな訳あるか。其れに子供一人にまとも飯食わせてやらず何が幹部だ。
信号が変わり車が動く。
そんな事をしている間アイツは窓の外を上の空で見つめている。その瞳からは何を考えているのかは皆目見当も付かない……俺は未だ信じられなかった。こんな今にも風に攫われてしまいそうな子供が戦場に赴き、あの小さな手で無数の兵士を葬り続けただなんて……
仮に俺が今いる席に太宰の阿呆が居たら、何か気の利いた言葉の一言や二言用意にかけられるのだろうか……
「よし、着いた。下りるぞ」
「理解しました」
まだ多少降っては居るが…まぁ、小走りで行きゃ問題ないだろう。
「此処が俺の部屋だ。手前も暫くは此処で暮らす」
部屋の紹介をしながら玄関へと案内する。矢張り少し濡れたか……色素の薄い髪が水滴を弾いている。早く風呂に入れなければと思反面、もう少し見ていたいと思う矛盾した気持ちがあった。
雨水を少し含んだ髪、時折その髪から水滴が滴り落ちる。 部屋の照明に照らされた輝いている…
まるで何が一つの絵画の様な、『櫻ゆず』と言う人間を形作る全てが……
色素の薄い髪がそのあどけない顔立ちが、そして、少しの冷徹さを孕む白群色の瞳が……
全部が全部、浮世離れした美しさと儚さを持っている。そうだ、本当に…少しでも力を掛ければ、簡単に崩れていきそうな…
だが其れを隠すかのように此奴には幾つもの痛々しい傷がある…
矛盾した美しさに……あてられて居るのだ
嗚呼、あれだ。キリスト教徒が
十字に張り付けにされた物に惹かれるのと同じものだ
此処まで読んで下さった方ありがとう御座います!
少し文量が多かったですかね?あれなんです。思いついたものをなぐり書きしてるんです。
正直中也さんは少し気持ち悪いくらいが好みなんです(言い方よ)
因みに此方では本編では書けない様なと言うか全く関係ない、ワタクシが衝動で書きたいと思ったものを書いていきます!名前は変わらず『櫻ゆず』のままですが設定等少しずっと変わっている行きますので!
其れではこちらもどうかご贔屓に!
補足
白群色(びゃくぐん色)
この話はヴァイオレット・エヴァーガーデンの様に進めて行きます