テラーノベル
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秋が深まり、木々の葉は赤や黄色に色づいていた。
放課後、咲は参考書を抱えて歩いていた。冷たい風が制服のスカートを揺らす。
(受験まであと少し……。なのに、悠真さんのことばかり考えてしまう)
夏祭りの夜のことも、体育祭で目が合った瞬間も。
どれもが鮮やかすぎて、ページをめくるように心によみがえる。
そんなとき、スマホが震えた。画面には「美優」の名前。
通話をつなぐと、少し間を置いて、美優がためらうように言った。
「ねえ、咲……このままでいいの?」
思いがけない問いかけに、咲は立ち止まった。
心臓が強く打ち、胸の奥にざわめきが広がっていく。
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