テラーノベル
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📘読み切り:確定の先へ
ある日、君は理科室のような場所にいた。
しかしそこは、どこか現実とズレた空間だった。
黒板に突然、文字が浮かぶ。
「2回目の選択開始」
机の上には一枚の紙が現れる。
そこにはこう書かれていた。
「慣れたときが、一番危ない」
そして部屋の隅には“影の自分”が立っている。
「やっと気づいた?」
その瞬間から、この空間は“選択”によって動き始めた。
黒板の導きに従うように進むと、扉が現れる。
そこにはただ一言。
「A:観測」
君はその扉を開く。
光に包まれた先は、ガラスのような空間だった。
そしてそこには、無数の“別の自分”が存在していた。
その中のひとつが言う。
「観測が始まった」
さらに進むと、巨大な円形装置が現れる。
それは“選択を確定させる装置”だった。
声が響く。
「ここから先は、選ぶのではなく確定する」
君は前へ進むことを選ぶ。
次に現れたのは、無数の時計が並ぶ部屋。
すべて違う時間を指し、中央には止まった時計。
その前に浮かぶ文字。
「止まった時間を動かせ」
しかし君は出口を選び、さらに進む。
通路の先には鏡の部屋があった。
そこには“もう一人の自分”が立っている。
「ここまで来たなら選び直せる」
そして問われる。
「役割を決めろ」
君は進むことを選ぶ。
やがて辿り着いたのは、すべての選択が重なった空間。
そこには“記録された世界”だけが存在していた。
そして最後の問い。
「最後に残るのは、どの選択か?」
君は迷わず光に触れる。
その瞬間、すべての選択が崩れずに理解へ変わる。
これは一本道ではなく、
無数の可能性が重なった世界だったのだ。
最後に声が残る。
「決めないことも選択だ」
世界は静かにほどけ、“余白”になる。
そこにはまだ何も決まっていない。
ただ、小さな始まりの点だけが浮かんでいる。
そして問いが残る。
「この先、どんな世界にする?」
コメント
1件
読み終わりました。印象的だったのは、「決めないことも選択だ」というラストの台詞です。物語全体が「確定」と「可能性」の間で揺れる感覚に満ちていて、読んでいるこちら自身が、自分はどんな選択をするだろう、と考えずにはいられませんでした。設定や世界観の設計がとても緻密で、SF的なアイデアと詩的な静けさが混ざり合っていて、独特の読後感があります。続きを、あるいは別の可能性が覗ける物語を、読んでみたいです。