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フォロー失礼します🙇♀️"
わっしょーーーい!!!天才じゃん!!!こういう桃さんがわたし好きなんですですです!!!!!!!!!!!!!
せいな最近浮上多くて助かるすき
桃赤
やらかした、と思った。
「今日、声優さんたちとご飯行ってくる」
俺ではない誰かとのトーク画面を見つめて、嬉しそうに笑う君。
いつもは耐えられるのに、
なぜか今日は、耐えられなかったんだよな。
「…ねえ、いつも他の人ばっかりで、俺のことはどうでもいいわけ?」
「……」
「……お前は俺に何を求めてんの?」
やめて、そんな顔を、そんな声を、俺に向けないで。
俺の、声を聞いて。
「さとみく、俺はただ、」
「りいぬ」
言い終わる前に、彼の鋭い視線が俺を貫いた。
「俺は俺のもの。お前だってお前のものだろ」
何にも縛られない、自由な君。
唯一無二の、君。
いつだって完璧で綺麗な君を、誰もが欲しがる。
俺だって、水面下で行われている争いを知らないわけではなかった。
だからといって、試すような真似は彼が最も嫌うことなのに。
ごめんなさい。俺が間違ってた。
精一杯の気持ちを込めて彼に言った。
「…俺は、さとみくんのものだよ」
彼は表情を変えることなく、冷たい瞳で俺を見つめて囁いた。
「……ふぅん、」
「お前が俺のものでも、俺はお前のものにはならないよ」
分かってるよ、そんなこと。ずっと。
そういう君を、好きになったんだ。
でも、だけど、それじゃ、
「…じゃ、もう行くわ」
君はどうしたら俺を映してくれる?
明らかな熱を持った多くの視線を受け止めながら、綺麗に、穏やかに笑う君。
だめ、こんな醜い感情は、潰さなければ。
彼に嫌われるなんて耐えられない。
今まで受けてきた賞賛も、彼の前では無意味だった。
彼の特別じゃない俺は意味がない。
「…っわ、びっくりした…」
「なに、まだ起きてたの?」
日付けが変わってから帰ってきた彼の頬は赤く染まっていた。
しかも、心なしかフラフラしている。
相当飲んだのだろうか。
俺以外の、人の前で。
耐えられなかった。
俺のさとみくんなのに。
耐えられなくなって、彼の唇を塞いだ。
数秒塞いでから唇を離すと、無機質な瞳が俺を見つめていた。
悲しかった。
ここまでしても、その瞳は揺れない。
その程度の存在なのか、俺は。
求めてさえくれない。
「…りいぬ?泣いてんの?」
気付けば涙が止まらなくなっている俺を君が見つめる。
もっと欲してよ。俺を。俺だけを。
「りいぬ、…」
黙って泣き続ける俺に、君は困ったように名前を呼んだ。
「どうしたら…どうしたら俺のものになってくれるの?」
「…だからそれは前にも、」
「俺はっ、さとみくんがいないと、生きていけない」
「好きだから、愛してるから、さとみくんが、俺のものじゃないのは耐えられないの、っ」
それくらい、君が好きなんだ。
分かってよ。
さとみくん、さとみくん。
ひたすら君の名前を呼んで、縋った。
自分でも気付かないうちに、すり減った心は限界を迎えていた。
自分の魅力を誰よりも知っているくせに、無頓着。
惹かれたものには、素直に手を伸ばして
飽きたものは、容赦なく切り捨てる。
誰にでも平等で、誰からも愛される。
それでも、誰かを愛すことはしない。
だからこそ残酷で、美しい。
「俺を捨てないで、俺を選んでよ」
「 」
俺を突き放すのも、引き寄せるのも、いつも君だ