日頃の感謝を込めて

岩本が寝室に入ると、渡辺は両手を広げて抱きしめて欲しいと待っている。抱きしめると、さっきよりは、熱が下がったと思われる身体。

岩本ー熱測るか？

渡辺ーんっ〜んっ。

岩本ー・・しないぞ・・・。

渡辺ー買い物行くの、許してやる。

岩本ーだから？

渡辺ーホントは、嫌なんだ、だけど、皆んな俺たちのこと知らないし、行かなくて逆に変に思われるの嫌。

岩本ー寝てろ、買い物には行く。

渡辺ーんっ。

確かに熱は下がったかもしれない。

でも、今大人しくしてないと、熱は確実に上がる。学習しない渡辺。

岩本ー熱が上がって困るの翔太だろ？

渡辺ーんっ〜んっ。

岩本ー寝てろ。

渡辺ーひかる！

岩本ー病院には行かないんだろ？

渡辺ーんっ。

岩本ー点滴の間、ずっと抱いててやる。それでも行かないか？

渡辺ーホントに？ずっと離れちゃだめなんだぞ？

岩本ーあぁ、抱いててやる。

渡辺ーひかる・・ひかる・・。

渡辺の服を脱がしていく。渡辺も岩本の服に手をかける。

ほんのり温かい身体。ゆっくりキスして、優しく触っていくと睨んでくる。

あまり、激しくしたくないんだけどと思う岩本。

渡辺ー手を抜くな。病院行かないから。

岩本ー分かった。病院に行きたいんだな？

渡辺ーそれくらいしろ、なまぬるいのはいらない！

岩本ー我儘だなぁ。

渡辺ーうるさい！

渡辺ーはぁ・・はぁ・・。

渡辺ーあっ・・そこ・・もっと・・ひかる・・強く。

岩本ー確実だな。

渡辺ーひかる・・ずっと・・。

岩本ーあぁ、抱いててやる。

渡辺ーもっと・・ついて・・おく・・はぁはぁ・・あたる・・。

渡辺ーいい・・いい・・んっ・・んっ・・とんじゃう・・はぁはぁ・・ひかる・・。

岩本ーホントに飛ばしたか？

熱測るぞ〜。

意識のない渡辺の脇に体温計。

39.4度。

岩本ーやっぱり。学習しない人たちねって看護師さんに言われるわ。

シーツに包んで病院へ。

看護師さんは、無言でため息を吐く。

岩本ー学習しなくてすみません。

看護ー渡辺さんでしょ、学習しないの。

岩本ー2人ともです。

看護ー寝かしたら？

岩本ー病院に行く約束で、ずっと抱いててやるから、行こうと連れてきたんで。

看護ー甘えん坊の困ったちゃんね。

岩本ーはぁ。

看護ー点滴終わるころ、また来ます。

岩本ーすみません。

岩本は、膝を折り、渡辺の頭を乗せて、身体を撫でている。寝てるのに、時々確かめるように腕を上げる。抱きしめてやる。

点滴の終わりころ、看護師さんが入ってきたときも抱きしめていた。

看護ーなんか、不安なことがあったのかしら。

岩本ーはい、思い当たることはあります。

看護ー連れて帰っていいですよ〜。

可愛いわね。

岩本ーはい、あっすみません。

看護ー今更ですよ〜。

シーツに包んで大事そうに抱えて帰る岩本を見送る看護師さん。

渡辺は幸せ者だと思って微笑んでいる。

岩本ー翔太？

渡辺ーひかる・・ひかる・・。

岩本ー楽になったか？

渡辺ーんっ〜んっ。

岩本ーどうした？

渡辺ーお前、恥ずかしかっただろ？俺の我儘で。

岩本ーもう開き直ってる。

渡辺ーなんて言われた？

岩本ーお前は、甘えん坊の困ったちゃんだと。

渡辺ーんっ・・当たってる。

岩本ー気にするな。

渡辺ーひかるは優しいから、ついつい我儘になる。

岩本ーお前はそれでいい。

渡辺ーひかる・・好き。

岩本ー翔太・・。

渡辺ーひかる・・愛してる。

岩本ーお前だけだ。俺の愛してるのは。

渡辺ーふふふ。寝よう？

岩本ー大人しくな。

渡辺ーんっ。疼いてるけど。

岩本ー氷いるか？

渡辺ーん。

何度か氷が2人の間を行ったり来たりしていたが、やがて、渡辺は眠りについた。

岩本は抱きしめて眠る。

岩本ー可愛い翔太、明日には熱下がったらいいな。まだほんのり温かい。

朝には元気な渡辺がいた。

岩本の頬にキスして出かけて行った。

完