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「亜っちゃんと葵ちゃんがこんなに小さい時から一緒にいるんだもんね。私にとって2人は娘みたいなもんよ」
話を聞いていたら、遠藤さんが佐藤家で働く事になった経緯に興味が湧いてきた。
「遠藤さんはどうしっ‥」
「両親が仕事で帰って来れない日が増えたので、家政婦を募集したんです。そしたら17歳の美咲ちゃんが応募してきて、即採用されました」
亜季ちゃんは、僕が質問を投げかけようとしたタイミングで、唐突に説明をし始めた。
「17歳って言ったら高校生ですよね? 家政婦の仕事なんかしていて大丈夫だったんですか?」
「高校は行ってたんだけど、事情があって行けなくなったのよ。学校は楽しくて大好きだったんだけどね。好きな人にも会えるし、部活もやりがいあったし…」
「そうだったんですか…」
それ以上は立ち入った話になるので止めた方が良さそうだ。
「お気遣いありがとうございます」
「そんなお礼を言われるような事じゃ…って何の事?」
「今、美咲ちゃんは昼間はホームヘルパーの仕事をして、それが終わってから、この家の家政婦をやってもらってるんです」
展開が早すぎて、話の流れについて行けない。
「住み込みで働かせてもらってるうえに、家賃も光熱費も食費も免除してもらってるから、かなりの好条件なのよ。それに何よりも大好きな2人と一緒にいられるから、これ以上の仕事はないわ」
遠藤さんは、隣りにいる亜季ちゃんの髪を撫でながらそう言った。
すると亜季ちゃんは遠藤さんの胸に顔をうずめて甘えていた。
何てかわいいんだ…‥
いつか僕も、亜季ちゃんにあんな事をしてもらえるのだろうか…‥
「・・・・・」
亜季ちゃんを見ると、何故か頬を赤らめ照れ臭そうな表情をしていた。
「それより今日は何か用事があって来たんじゃないの?」
遠藤さんの言葉で、ここに来ている目的を思い出した。
「担任の先生から葵さんの宿題のプリントと連絡ノートを預かってきたんです」
「あらそうなの? だったら葵ちゃんを呼んでこなくちゃね。ちょっと待ってて」
「えっ‥遠藤さん、葵さんにはプリントを渡しといてもらえればいいですから」
「いいから、いいからっ」
遠藤さんはそう言うとリビングから出て行ってしまった。