「じゃ、行ってくるね〜」
「お気をつけて、行ってらっしゃいませ…」
ぺこりと律儀にお辞儀をする彼の白髪を見て、玄関のドアノブを引く。
ガチャリという音と共に外の世界へと足を踏み出す。
昨日、彼から聞いた依頼内容の他に、その依頼が他の事務所へも回されていることを聞いた。
彼はこのような事例が過去に無かったことから、どう言おうか迷っていたらしい。
別に普通に伝えれば良いものを…
「はぁ〜あ…下手に動いてないと良いけど…」
もし、相手が「本物の妖怪」なのだとしたら…それはきっと、俺ら「人間」には太刀打ちの出来ないものなのだろう。
下手に怒らせればきっと、下に位置している街も犠牲になるかもしれない。
「…めんどくさ」
人のことを考えるのは、本当に面倒くさい。
森の中を奥へと進んで行くと、白くもやがかった屋敷…いや、洋館が見えて来た。
雰囲気がとてつもなく嫌なその洋館へと続く二つの足跡に、嫌な予感が重なり積もる。
「はぁ…もっと面倒くさいことになったかも…w」
少し凹んだ地面を人差し指でなぞると同時に、先で何か重い物が動く音がした。
誘導されるように入った洋館の中はとてつもなく広かった。
人が数百人…余裕で入れるか、それでも余る程のスペースを突き進んで行く。
何か目印になるものが無いかと辺りを見回すも、ただ一本道が続いているそれに不気味さが増幅していく。
「…一体、どこまで進ませるつもりだ…?」
独り言さえもが反響し鳴り響く、長く、暗い廊下。
白く塗装され乾いた壁に手を這わせ、無意識にゆっくりと警戒心を固めていった。
少し進んで行くと、一つの部屋が見えた。
そこは廊下よりも広く、何個もの長机があることから「食堂」だと予想される。
「…うっ」
「え?」
思わず振り向いた先には、3人の子供がいた。
目に飛び込んできた3種類の色。
赤、黄、緑…
皆、ボロボロの服を着ていた。
「……だれや?」
いや、お前が誰だよ…_____
俺らが玄関と思われる鉄扉に近づいた瞬間、あれが動き出した時には本当にビビった。
2人共がビビりなせいで大声を上げてしまったことが原因か、廊下の奥から小さな悲鳴と同時に泣き声が聞こえた。
声が聞こえて来た方向へと進むと、そこには4種類の色があった。
赤、黄、緑、紫。
依頼内容を思い出し、彼らがそうなのでは無いかと勝手に推測を促す。
「なぁ、ちょっと案内してくれんか?」
話しながらなら情報を聞き出せると、そう俺は判断した。
「いいよ」
コメント
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この色はもうあの方々しかおらんやろ...