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「 No.1ホストと幼馴染」 ― ya × et
家賃、光熱費、食費。
数字を前にすると、ため息ばかりが重なる。
ある日。
ゆあんくんが帰ってくるのが遅かった。
玄関のドアが開く音に、えとは待ち構えていたように声をかけた。
「また飲み会?」
「仕事の付き合いだ。」
「でも……最近毎日じゃん。帰ってきても疲れて寝るだけで、私と話もしないし。」
少しきつい口調になってしまった。
でも、抑えられなかった。
ゆあんくんは眉をひそめて、靴を脱ぐ手を止めた。
「……俺だって頑張ってんだよ。生活のために。」
「知ってる。でも、私はゆあんくんに“いて”ほしいの。」
その言葉に、彼は苦笑した。
「甘えてる場合かよ。」
胸がズキンと痛んだ。
その一言で、えとは黙り込む。
二人の間に、冷たい壁が降りた。
***
数日後。
えとは友達に誘われて飲みに行った。
気がつけば深夜。
家の前まで送ってくれたのは、仕事仲間の男だった。
玄関先に立つ二人を、帰宅したゆあんくんが見た。
一瞬、氷のような沈黙。
「……そういうことかよ。」
彼の声は低くて冷たい。
「ちがっ、ちがうの!」
慌てて手を伸ばす。
でも、彼は振り払うように部屋に入っていった。
その夜、二人は同じ部屋にいながら、一言も交わさなかった。
***
翌朝。
えとはリビングに座り、必死に声を絞り出した。
「……もう、やめる?」
コップを持ったままのゆあんくんが、ゆっくり顔を上げた。
瞳に宿る痛みは、えとと同じものだった。
「……俺じゃ、お前を幸せにできないのかもしれない。」
心臓がぎゅっと締めつけられる。
否定したいのに、涙が邪魔をして声にならない。
沈黙の中、ただ時間だけが過ぎていった。
コメント
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ぇぇぇ 🥹 凄い内容 ちゃんと しすぎてて ちょー 好みです .ᐟ
え ぇ っ … ߹~߹