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【近いうち、病院行くって言って、もう2週間経っちゃった。私が思ってるより、裕介は私を愛してないのかも。私の辛さとか、分かってる風で何も分かってないのかも】
美奈子のLINを読んで、相当追い詰められていると千秋は思った。
【あのさ、いつもLINだけじゃん。今度気晴らしに会わないか?食事しながら話を聞くよ】
千秋の返事に美奈子は嬉しくて、目がじわっと熱くなって泣きそうになる。
こんな風に気にかけてくれる人が近くにいて、それだけで心が軽くなる。
【でも、奥さんに悪くない?2人で会ったら、やっぱり良くないでしょ?】
【大丈夫だよ。絶対妻にはバレないようにするから。って食事するだけじゃん。気にしすぎだよ】
千秋の誘いが嬉しくて仕方ない。
小学生の時と違って、大人になった千秋に男としてときめいてしまった。
【今度の金曜日どう?無理なら仕方ないけど】
【大丈夫!友達とは今でもたまにご飯してるから、裕介も変に思わないから】
千秋と美奈子は、ただ2人で食事をするだけでドキドキする。
誰かに見られたら、確かに不倫をしているように見られるだろうが、それでも千秋は美奈子に会いたかった。
美奈子のストレスを解消させたかった。
「友達と飲み会?」
その日の夜に、美奈子は裕介にお伺いを立てる。
裕介はジャケットを脱ぎながらキッチンを見る。
「うん。相手も結婚してる子だから、遅くなることはないから」
キッチンで夕飯を温め直しながら美奈子は言う。
裕介は専業主婦の美奈子が、たまに外で息抜きをするのも寛容だった。
今回は特に、病院にも行っていない後ろめたさもあり、美奈子の気持ちを少しでも楽にさせてあげたかった。
「大丈夫だよ。行っておいで。夕飯も自分でなんとかするし。ゆっくりしてきていいよ」
裕介の優しい言葉に、美奈子は嘘をつく罪悪感から素直に笑顔になれない。作り笑顔を向けてしまった。
「ありがとう」
「どういたしまして。手を洗ってくるね」
洗面所に消えていく裕介。
美奈子は握り拳を胸に当ててため息をついた。