ut視点
もう少し、仲間を信じてもいいと思うんやけど
その疑問は、しにがみさんの仲間想いなところから考えたものだった
「、、、信じないんですか?」
ある程度走った後、聞いてみた
sn「何を、ですか?」
突然の質問の意図を全く分かっていない様子のしにがみさん
困惑してるのも可愛いですね
「クロノアさんが無事であることを」
sn「、、、それは、」
しにがみさんは押し黙ってしまった
図星だったのだろう
「見たところ、出血量が多いようですが、応急処置が的確みたいですし、無事ではあると思いますよ」
sn「そう、、、ですかね」
「、、、貴方は、普段医療担当なんですか?」
sn「はい、よく分かりましたね」
「まぁ、それだけ応急処置がうまかったんですよ」
元から医療担当だった割には、この自信のなさ
恐らく、過去に失敗した経験があるのだろう
それも大きな
俺に出来るのは励ましだけだ
足が動き続け、音が鳴り続けている
その音は、今の状況とは真逆とも言えるだろう
「いやぁ、俺は普段から失敗ばかりだから、こんだけ完璧に応急処置出来ないんですよね」
sn「、、それは、大丈夫なんですか?」
「ん〜?大丈夫ですよ?」
sn「なんでですか?」
「、、、それはな、仲間を信じてるから」
sn「信じてる、、、」
復唱した彼女だったが、どこか、納得いかないようだった
姿が見えなくても分かるぐらいやから、相当やで
「そうです、失敗しても、誰かがやってくれる、迷惑をかけてしまった人は無事でいるって」
sn「でも、それって、、、」
「失敗したのだから、仲間に捨てられる?」
しにがみさんはあからさまに黙った
本当に、信じられていないんやな
「そんなん、有り得へんと思いますよ?人間誰しも失敗することなんてあるんですから」
sn「、、、人命がかかっている僕たちにとって、失敗は許されないんですよ」
「だから、そんなの関係ないですって」
sn「関係あるんです!」
初めて声を荒らげた彼女
必死さが伝わってくる
生半可な言葉じゃ、きっと心には響かない
sn「作戦を考える頭も無ければ、敵をいっぱい倒せるほどの力もない!、、、僕は、ハッキングと医療系しか出来ないんですよ、それなのに、それなのに!、、、」
今にも泣き出しそうな声で訴えてくる
それは、必死で、子供が泣いているようでもあった
それでも、足を止めないしにがみさんは、立派だと思う
「、、、いいんですよ、それでも、失敗を許し合えるからこそ、仲間なんじゃないんですか?」
sn「聞いてたんですか?僕の失敗は人命に、、、」
「聞いてましたよ、その上で言っています」
sn「は?」
彼女はもう、色々通り越して、呆れているようだった
「ハッキングで情報が取れなくても、仲間を信じましょうよ、それだけでどうにかなる程、甘くないかもしれませんが、それだけでも、可能性は高くなると思いますよ」
sn「、、、本当に?」
「はい、僕が生き証人です」
振り向き、しにがみさんの目を見つめる
その目は、紫
混色であるそれは、綺麗で、吸い込まれそうだ
sn「、、、、、信じて、見ようかな」
「ぜひ、そうしてください、仲間と自分を信じてあげてください」
sn「!、そうですね、信じてみます!」
どうやら持ち直してくれたようだ
良かった、本当に、、、
これで、心置き無くナンパが出来るからな