わんくっしょん
両片思いから恋人になるhbsr
※こちらはnmmn作品になっております。
ご本人様とは全くの無関係です。
地雷の方は自衛のため、お戻りください。
文が拙い、ちぐはぐな部分がありますが脳内変換していただけると幸いです。
そろそろお暇しようとソファから立ち上がり、セラフの元から離れる渡会の袖…いや、手首が掴まれる。
振り払おうとすれば、振り払うことのできる控えめに入れられた力。
掴まれている手からその先に目線を向けると、斜め下に目を向け、眉を八の字に寄せるセラフがいた。
恐る恐るこちらを見上げ、ぽつりと空気に溶けて消え入ってしまいそうな小さい声で言葉を紡ぐ。
「ひば…もう帰るの…?」
座っているせいで、普段より幾分も低い位置から見上げられている。
いわゆる上目遣いと言われるものだ。
ゴクリと喉を鳴らす。
いつものように声を掛けようにも動くことのない口。
固まったままで無反応の渡会に、はっとしたように掴んでいた手から力が抜け、するりと離されてしまう。
「…や、変なこと行ってごめん。気にしなくていいよ」
ははっ、と渇いた笑い声を発し、気まずそうに渡会を引き止めた手を解き、ほんの少し悲しそうな色を滲ませる。
(なんだよ、それ)
ごめんね〜、といつものような調子で笑うセラフ。
その目には薄らと膜が張っており、目元がほんのりと赤い。
勘違いしてもいいのだろうか。
下手に作られた笑顔と先程の言動に期待をしてしまう。
だんだんと震える声でやけにペラペラと回る口で言葉を発し、下を向く目にじんわりと滲む涙。
「セラお。嫌だったら突き飛ばしてくれ」
「…え、っん」
拒まれないことを分かっていながら一応言っておくと、なにか口にしようとしたセラフへ自身の唇を合わせた。
びっくりしたように見開かれ、揺れる瞳。
夕焼け色の瞳に映る自分の色に目を細める。
突き飛ばしていいと言ったが、想像していたようにそんな素振りは一切なく、渡会へ寧ろ縋り付いていた。
触れるだけの長いキス。
緊張で固く結ばれた唇をふにふにと指先で弄り、口を開けさせる。
ほんの少し開いた隙間から自分の舌をねじ込ませ、口腔へと侵入する。
歯列をなぞり、上顎を這わせ、舌を絡ませ、ゆっくりと味を確かめながら犯していく。
「ぁ…ふ、ぅ…んッ、…ぇ…」
深いキスを始めると同時に、セラフの身体をソファに沈めると、上に跨り、逃げられないよう押さえつける。
気持ち良さからか、浮き上がった腰を抱き寄せ、自分の腰と密着させば、ビクッと反応があった。
貪るように交えたキス。
初めてのキスはレモンの味、とよく言われているが、唾液のほんのりとした甘い味がした。
何かを食べた後であれば、その味がしたのだろうがセラフ本来の味という感じがしてこっちの方が好きだった。
苦しいと肩を叩かれ、離した口から注いだ唾液が零れ落ちる。
それを舐めてみせれば、元よりキスで赤くなっていた顔を更に赤く染めた。
やっぱ無理だわ。
再度意識させられ、意を決する。
本当は墓場まで持って行くつもりだったのに。
そう心の中で呟きつつ、セラフに長い間抱えていた自分の思いを告げた。
「好き…せらお、すきだよ。ずっと前から」
「うそつかないでよ…」
「うそじゃない。ほんとだよ」
涙が溢れ、赤くなった目元をそっと撫でる。
触れてわかるほど熱を持った身体。
目元から頬を辿り、唇へ手を沿わせ、再び口付ける。
「全然振ってくれていい。セラおはどうなん?」
顔に散らばる長い前髪を避け、露わになった綺麗な瞳を見つめる。
「…すき、だよ…おれもすき」
ぎゅっと瞑られた目を縁取る睫毛を濡らし、涙が頬を伝う。
セラフから伝えられた言葉に心底嬉しそうに微笑み、震える身体を優しく包み込む。
頬に当たるふわふわの髪がくすぐったく、感じる体温が温かい。
セラフも渡会の背中へ控えめに手を回す。
今の幸せを噛み締めるように、そっと目を閉じたのだった。
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