第十五話
注意書きは第一話をご覧下さい。
茉実side
母「茉実ー?ご飯作って〜」
茉実「……はーい」
姉ちゃんが逃げた次の日。母には連絡が取れなくなった、同じ学校の人にも聞いたけど知らないって言ってたって伝えた。
まだ姉ちゃんの住所はこの家になってるから役所に行っても何も起きない。
そして、変えても隠すようにするからバレない。
今のとこ計画は順調に進んでいる。
姉ちゃんがいない今、母は私をこき使うようになった。
結局子供は自分にとって奴隷。
茉実(姉ちゃん、よく耐えてきたな…)
今姉ちゃんと同じ立場に置かれて思う、こんな生活をずっと耐えてきた凄さ、ほんとに心配になってしまう。
今日の予定は、学校の後姉ちゃんの学校に寄って保健の先生と話すこと、それと
いふさんに、姉ちゃんから頼まれたものを渡すこと。
放課後
水の学校前にて
茉実「…結構生徒出てきたし…入っていいかな」
青「……あ、あの…っ!」
茉実「?」
誰に呼ばれたかと思えば、いふさんだった。
茉実「こんにちは、どうしたんですか?」
青「…ほとけ…は、どこに行ったんですか…?」
茉実「…」
……きっと、心配してるんだろうな。
だって姉ちゃんが信頼できそうなくらいの人だもん。
茉実(…先にいふさんに渡してから学校に行こう)
茉実「……場所は教えられません、ですが…」スッ…
青「…?これは…」
茉実「姉ちゃんから頼まれたものです。いふさんに渡して欲しいと」
青「!」
茉実「私も中身は見てないのでよくわかりませんが…受け取ってください」
青「…ありがとうございます」
茉実「……きっと私と会えるのも、これで最後かと」
青「っぇ…」
茉実「私も姉ちゃんのところに行くので」
茉実「……でも、もしかしたら近いうちに会えるかもしれませんね」
茉実「それでは、お元気で」タッ…
青「…」
青「…手紙…ほとけから…」
水side
奏音「ほとけちゃ〜ん」
水「は、はいっ…なんですか?」
奏音「さっき茉実ちゃんから連絡が来てね、学校の先生と話してきたって」
奏音「あと…頼んだもの?も渡したらしいわよ」
水「そうですか…わかりました」
奏音「それと、今週の土曜日に来るらしいわ」
奏音「一緒に迎えに行きましょ♪」
水「はいっ…!」
いふくんに手紙が届いてよかった…
水(…ちゃんと読んでくれたかな)
青side
ガチャ
青「…」
ボスッ←カバンを投げる
青「…何書いてんねんやろ…」カサッ…
青「…!」
『いふくんへ
まずは謝らせてください。
キツイこと言ってごめんなさい。傷つけてしまってごめんなさい。
勘づいてたと思うけど、僕の家族は普通じゃなくて、僕は親から“いらない存在”として扱われてきた。
テストも常に上位じゃないといけなかった。
あのテストで、僕は1位にならなかったらみんなと一緒にいられなくなってしまうんだ。
僕は負けてしまったから、距離をとらないといけなくて、あんな態度とったらみんな離れてくれるかなって思ったんだ。
だけどいふくんは最後まで寄り添ってくれたよね。
あんなに喧嘩してたのに、僕のこと気にかけてくれて、好きって言ってくれて
あ、そうだ、告白してくれたこと、ほんとはすごく嬉しかった。
だけど、君にはもっとお似合いの人がいると思うし、僕と付き合ってもなにも楽しくないよなって思って断っちゃった。
でも、なにか思う度、いふくんの事が思い浮かんじゃうんだ。
気づくのが遅かったけど…僕もいふくんのことが好きだったのかも…笑
っていいながら君はもう僕のこと好きじゃないかもしれないし、そもそも僕は親から逃げる選択をした今、君に会うことは出来ない。
だから、他の4人と楽しく過ごしてね。
彼女とかつくって幸せになってね。
僕の家庭事情は他の人に言わないでくれると嬉しいな。もちろん他の4人にも。
みんなによろしくね
今までありがとう
ほとけより』
青「…ポロッ」
青「今更言ったって…遅いっての…ポロポロ」
青「こっちはまだ好きやのに……ッッポロポロ」
プルルルッ♪プルルルッ♪
青「…?グスッ」
青(ばあちゃん…から?)
青「もしもし?」
<もしもしいふ?元気にしてるかしら?>
青「ッ…あぁッ、元気やで」
<…?なにかあった?>
青「いやッ…なんもないで」
やっぱばあちゃん勘が鋭いなぁ…←勘の鋭さはばあちゃん譲り
青「それで、どうしたんや?」
<そうそう、実はね……家に2人の姉妹を招待したの>
青「2人の姉妹…?」
<そう、親から酷い扱いを受けてたみたいで…私たちが引き取ることにしたの>
青「…そうなんや」
<いふも最近来てないし……挨拶も兼ねて久々に会いにこない?>
青「……せやな」
青「今週は三連休やし…日曜日くらいに泊まりで行くわ」
<わかった、待ってるね>
青「おん、またな」
プツッ
青「……これが、ほとけだったら……なんて」
そんなこと、ないか笑
コメント
1件
もしかして、