部屋の一角に座る6人。手元にはくじで番号を書いた棒が入った小さな箱が置かれている。
こさめがにこやかに箱を振る。
「さあ、王様ゲーム、始めるよー!」
「まあ、付き合うか」
らんは苦笑しながらも腰を落ち着ける。
いるまは退屈そうに天井を見上げる。
ひまなつはだるそうにあくびをしながらも、手を動かす気配はある。
すちとみことは向かい合って座り、少し緊張した空気が漂う。
「誰が王様になるかなー?」
こさめは楽しそうに引いた棒の先端を見る。
「あっ、こさめだ!!」
棒には“王様”の文字が。こさめは満面の笑みで手を挙げた。
「じゃあ、命令するよ!」
6人の視線が一斉にこさめに集まる。
こさめは指をくるくる回しながら、目を輝かせて考える。
「よーし……3番と5番、ディープキス!」
番号を確認すると――3番はすち、5番はみこと。
「えっ……! いやいや、無理やって!」
みことは目を見開き、頬が赤く染まる。
思わず頭を振って小さな声で言う。
しかし、すちは落ち着いた笑みを浮かべ、ゆったりと腕を広げて「おいで」と誘う。
「ぅっ…」
みことはその柔らかく穏やかな声に、緊張の糸がすっとほどけるように感じ、素直に近づいていった。
すちが両手でみことの頬を包むと、体温が直に伝わり、みことは思わず小さく息を漏らす。
そのまま顔を引き寄せられ、唇が触れ合う。
「ん……」
みことは戸惑いながらも、唇の柔らかさに抗えず、口を少し開く。
すちはその隙を逃さず、舌を差し入れ、みことの口の中で甘く絡める。
みことの肩がぴくりと震え、胸の奥が熱くなる。
すちはゆっくり、しかし確実に舌を絡ませ、優しく味わうように舌先を滑らせる。
周囲は静まり返り、らんやいるまは少し目を細め、ひまなつは薄く笑う。
こさめは興奮した声で「すごーい!本格的!」と呟いた。
みことは顔を真っ赤にしながらも、すちの掌に包まれた安心感と甘さに、自然と体を委ねていた。
「んっ……!」
思わずみことの口から小さく声が漏れ、頬が熱を帯びる。
すちは目を細め、穏やかな笑みを浮かべたまま、両手で頬を包む掌のうち片方を、ゆっくりと首筋へ滑らせていく。
みことの身体がびくりと反応し、指先に小さな震えが伝わる。
唇の甘い感触と指先の微かな刺激に、みことの心は次第に浮き立ち、瞳は潤んでいく。
そして無意識のうちにすちの裾をぎゅっと掴み、距離を縮める。
すちはさらに優しく首筋を撫でながら、みことの反応を楽しむように絡め続けた。
みことの身体の緊張と甘い動揺が、空気を一層濃密にしていった。
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すちはゆっくりと唇を離す。
「……はぁっ、はぁっ」
みことは荒い息を漏らしながら、とろんとした目ですちを見つめる。
その無防備な表情に、すちは一瞬ハッとする。
「……この顔は見せられないな」
そう呟くと、すちはみことの頬を自分の胸にそっと押し当て、顔を隠した。
みことはその温もりに安心しつつも、まだ心臓が跳ねているのを感じている。
「きゃー、すちさーん、やりすぎじゃない?」
ひまなつやこさめが声を上げてからかう。
らんは少し眉をひそめ、呆れた様子で
「……やりすぎだって、すち」とだけ言った。
その一言で空気は少し引き締まり、みこととすちの間の甘く熱い余韻が、周囲の笑い声と交錯しながらも落ち着きを取り戻していった。
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