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「まったく、あんたは……。少しはないこを見習ったらどうなの?」
俺は昔から優等生だった。
そんな俺と兄を母はよく比べた。
兄だって優秀だ。俺よりも頭は良かった。
少し素行が悪いだけ。
俺は学校でだって、親にだって褒められた。
優等生だった。
_小さい頃はそれでよかった。
親はだんだん兄に干渉していった。
引きこもりがちな兄に。
勉強はしたの、少しは外に出なさい。
度々口喧嘩もしていた。
「はぁ、……お兄ちゃんに比べてないこは偉いわね。ほんと助かるわ。」
呆れながら母が言った。
俺は兄のことを尊敬していたし、好きだった。
そんな兄を貶されて、少し悲しかった。
けどそれ以上に、母の愛情が俺に向いていないことが悲しかった。
ないこは一人でもできるから。
ないこは良い子だから。
ないこは優等生だから。
そう言って母は俺から離れていく。
愛されているか分からなくなる。
ねぇ、俺良い子じゃないよ。
お母さんが思うような子じゃないよ。
だから、こっちを向いてよ。
俺を愛してよ。
※主が思ってることだったりしたりしなかったり。
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