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石川くんごめん…
後半ゲロ出ます🫠🫠🫠
監禁一日目
「石川、起きたんけ。おはよう」
彼が目を開けた時、僕はそっと声を掛ける。石川は反抗的な目つきで僕を見る。
一晩中、縄で締めていたせいだろう。
あの浅葱色の手足が、今朝はやけに淡くて、綺麗だった。
「朝ごはん、食べれるちゃね?」
僕はベッドの脇に簡易的な机を用意し、その上に密かに精神安定剤を混ぜた食事を並べていた。オートミールや果物、スープやサラダなど。少し量が多い気もするが、これも彼の為である。
石川は痺れた腕を震わせて起き上がろうとするので、僕は首を横に振った。
「いいちゃ、無理しられん。最初から、僕が食べさせてあげようと思っとったがいから」
僕は甘ったるい声でそう呟く。すると、石川はぽろぽろと泣き始めてしまった。
「なんで俺を…こないなとこに連れて来たげん?
帰りたい…ほんまに…」
僕はさじを掴み、スープの具を一つ掬った。空腹を満たしてあげれば、彼の機嫌が直ると思ったから。
構わず、僕は彼の口へ具を近づける。
しかし、その手を石川が払いのけた。
「こんなんっ、いらん…!!お前の作った朝飯なんぞ…」
僕は思わずため息をつく。混ぜた薬が無駄になるので、スープくらいは全てのみ切って欲しいのだが。
僕は心中を悟られない様に、敢えて穏やかな声で言った。
「朝飯抜くがは体に良くないちゃ。僕が作ったもん食べるがは癪かもしれんけど、体力無くしたら、動けんくなるやろ?」
石川は頑なに口を閉じ、僕から顔を反らす。僕は続けて言った。
「脳に糖分がいかんくなると、判断力が鈍るがいぜ。 今の石川が『帰りたい』なんて言うがは、ただの低血糖によるせん妄かもしれんちゃ。」
一定の声のトーンのまま、石川に朝食を食べる様に促す。
ふと、石川が視線だけを動かす。彼の金色の瞳が見えた時、僕はにっこりと笑って言った。
「ほら。ちゃんと食べて、落ち着こうね」
石川は仏頂面のまま、小さく口を開ける。良い子だ、と僕は彼の頭を撫で、さじの先を彼の口に入れる。
「に、苦っっ…!?」
途端に、石川が驚愕の声を漏らす。薬の混ぜる量を間違えたかもしれない。
まあ、多く摂取してしまったとしても、目立つ心体的な害は現れないはずだ
僕はスープのお椀を持ち、彼の口へ無理矢理流し込む。
「んぐっ、富山っ、!!!ゔぇ゙…や、だっ!!やだぁっ!!
ん゙、ん゙ん゙っ、うぅぅ…!」
彼は未だ痺れている手で僕の腕を掴み、ばたばたと暴れる。
しかし、まともに機能しない手足を見て諦めたのか、大人しくスープを全て飲み込んだ。暫くはくはくと口を大きく開け深呼吸を続ける石川。
慣れない苦味故か、涎が口元から、舌から滴っている。
それから約15分、なんとか朝食を完食させた。
石川は涙目のまま、口元を抑えている。
「ッッ____ぅ、おぇっ…」
己の吐き気と戦っているのだろうか。まあ、初めての味覚と薬が入っているのだ。体が多少拒絶反応を見せるのも無理はないだろう。
彼の口からツンと酸っぱい匂いがする。
僕は追い打ちをかけるように言った。
「そんじゃ、僕仕事行ってくるちゃ。
吐瀉物で部屋汚すような真似は、しられなよ」
それを聞いた石川は、逆流してくる食べ物と胃酸を必死に口内で飲み込もうとしていた
恐怖に支配された目で、彼は僕を見る
…可愛い
すぐ戻るちゃ、と彼の頭を優しく撫でた。
外を見ると、太陽が徐々に昇り始めている。いつも通り仕事着を着て、職場へ出勤した。