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episode3 兵長と大妖怪
episode1からの続きですので、忘れてしまった方はepisode1から見返す事をおすすめします!
ここは本当に日本なのか?
自身が聞いた話では、日本人は和服や着物を着ていたり、高い建物がとても少なかったり、家がとても簡素に作られていたり……と
現在自分が見ている世界と真逆の情報だったのだ。
一瞬は戸惑ったが、すぐに何らかの不具合で少し先の、未来の日本へ来てしまったと悟ることはブライドにとっては簡単だった。
幼い頃に幸い、日本語は身につけた。
あとは地図、食べるもの、着替えや住居。
兵団の隊服で来ているため、やはり目立ってしまう。
ここからどうしようかと考えた矢先にパッと浮かんだ答えはひとつ。
とりあえず、現地の者に地図を売っている場所を聞こう。話はまずそれからだ。
「すみません」
近くにいた長髪の女へと話しかけた。
「はい、どうかされましたか?」
「この辺りで、地図を売っている場所を知りませんか?」
「あら、旅行者の方ですか?いいですよ!案内しましょう!」
すみません、と会釈をして、女の後ろを歩く。
そこで気づいた。金があるのかどうか。
だが、律儀に転送装置で手持ちの金を用意されていた。
しかも見たことの無い紙幣だ。恐らく、日本のお札だろう。
難なく地図を買うことに成功した。
店を出て、近道だからと女に裏路地を案内された。
そこで、女は口を開いた。
「あなた、この後は何処へいらっしゃるのですか?」
考えていなかった。なにせ自分は旅行者でもなんでもないからだ。
「そ、そうですね。この後の事は特に何も考えれていなくて」
「だから地図を買ったんですよ」
咄嗟に出た言い訳にしては、自分では上手くいったと思った。
だが、次に女が言った言葉は予想の斜め上の答えだった。
「地図を買ったのは、自分が想像していた日本の街並みと現地の街並みが大きく外れていたから。」
「行く場所が決まっていないのは、咄嗟の言い訳で、本来はここ、東京の観光場所なんて知らなかったから。」
「そもそもここに来たのは、自分が乗ってきた転送装置のミス。」
「だから、近くの者に聞くしかなかった」
「違いますか?」
なんと、私の全ての行動、その意味を言い当てたのだ。
自己防衛か本能か。私は腰に巻いていた武器を静かに手に取る。
その行動を見て女は焦ったように言う。
「待ってください!わたくしは敵ではございません、!w」
「あなたが困っていそうだったので、地図を購入している間に少し調べただけですよ!」
「あと、敬語は外した方が話しやすいのでは?イギリスではいつも敬語ではなかったでしょう?」
その言葉にブライドは少し怒ったような顔で冷たい言葉を返す。
「敵ではない?では味方でもないのだろう。」
「お前の目的はなんだ。私のことを調べて何になる。困っている者を何故そこまで助ける。」
「調子の良い嘘には私は乗らない。」
その言葉に相手の女は目を丸くした後、ニッと笑って答えた。
「目的……ですか。それは先程もいいましたが、あなたが困っていそうだから助けたかった。」
「ただ、それだけの事ですよ。」
「難しいですか?」
ブライドは表情を変えずに答える。
「……そうだな。私にその心理を理解する事はとても難しい」
「そうですよね。あなたには感情がないんですものね。」
「大変失礼致しました」
この女、どこまで私の事を知っている。
「あ!今、こいつ、どこまで自分の事知ってる?って思いましたね?」
「なんだお前気持ち悪いな」
「えー、敬語外したら結構毒舌ですね」
「でも、これも何かの縁ですし、教えてあげます」
「私もあなたと同じ、国外から来たからですよ」
まるでマシンガンのように話しが進んでいく。
はぁ、とため息を小さくつく。
危険な者かと思えば、急にどんどん話しかけて来る。
なんなんだこの女は。
「そうだ!帰る場所がないのなら、私の家に泊まりますか?」
沢山選択肢出されても
「いえ、せっかくですしスカイ○リーとか登らせて上げたいですね、!」
どうするのが正解なのか。
「いやでも、この服だと目立ちますね。買い物に行くのもありです!」
分からない。
「好きなようにしていいんですよ。」
その声が聞こえた途端、少し驚いて体が動いた。
本当に謎すぎる。なんだよこいつ。
だが、失言を聞かれたかもしれない。
「聞こえていたのか?声に出ていたのか。すまない。忘れてくれ。」
「聞こえてませんよ。なんとな〜く。わかるんです。」
「で?あなたはどうしたいですか?」
私は昔から、選択肢は苦手だ。
自分の好きな物なんて分からない。
だからとりあえず、こう答えておこう。
「わかったよ。じゃあ寝る場所だけ借りさせてもらう。」
「分かりました!では案内しますね。」
2人の物語は、ここから始まる。