テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
──だぁ・すかー・夢魔 視点──
リビングの隅、3人は完全に無音で、スマホを構えて静かにシャッターを切り続けていた。
ネグとマモン、あまりにも自然であまりにも穏やかな寝顔。
だぁが小声でつぶやく。
「……はぁ……まじ、可愛すぎる……」
すかーもそれに同調するように息を吐いた。
「……ありえねぇ。さすがに反則だろ……この絵面は……」
その時――
「カシャカシャ……うるさい……」
低く掠れた声。
マモンが、ゆっくりと目を開け、だるそうに上体を起こした。
その一言に3人とも固まる。
マモンはそのまま、ふわぁっと欠伸をして、再びネグの隣へ身体を倒し、また眠りに戻った。
夢魔が笑いを堪えながら小声で言う。
「……気づかれてんじゃねぇかよ……」
だぁも眉をひそめつつスマホを下ろす。
「さすがに休ませるか……」
その直後、ネグがふらりと目を覚まし、今度は静かに立ち上がった。
寝ぼけ眼でふらつきながら、マモンから離れた――その瞬間だった。
マモンの手がガシッとネグの腰あたりを掴んだ。
ネグは「あれ…あれ…?」と掴まれたまま困惑し、必死に外そうとする。
「マモン……ちょ、ちょっと……」
だが、マモンの手はびくともしない。
それどころか、力がほんの少し強まったように見えた。
ネグはだんだん声が弱くなっていき――
「いい加減……離してッ……好きだから、離して?」
その一言に、3人全員が完全に固まった。
だぁの手が微かに震えたほどだ。
マモンはその囁きに反応してか、ほんの少し力を緩め、ネグはやっとのことで身体を引きはがして、ふらりと部屋を出ていった。
3人はそこで息をつく。
「今……なんだよ……」
すかーがかすれた声で呟く。
夢魔も腕を組みながら、目を伏せていた。
ネグが数分後に戻ってきた時、彼女は座ったまま、うとうとと舟を漕ぐようにして再び眠り始めた。
その姿をまた、3人は無言で見つめ――今度は録画を開始した。
「もうさ……写真だけじゃもったいないよな。」
「動画は残す。」
だぁも深く頷いていた。
そして、マモンもまた、ゆっくりと目を開け、ネグの隣に座って、そのまま目を閉じた。
ふたりがくっつくようにして、静かに眠り込む――
その光景に、3人は完全に言葉を失った。
けれど、心の中ではひたすら叫んでいた。
だぁ:(いや……なんなんだよこれ……可愛すぎるだろ……)
すかー:(無理……無理無理……こんなん無理……)
夢魔:(もう写真とか動画とか関係なく……ただ見守っていたい……)
しばらくそのまま静かな時間が流れていた。
──
やがて、またネグとマモンが同時にゆっくり目を覚ました。
ぼんやりとした寝起きの顔で、互いに顔を見合わせ――そのまま、自然に頬へキス。
だぁのスマホがその瞬間を切り取った。
「……は?」
すかーが固まったように呟く。
そのあと、マモンが眠たげにネグへ頬キスを何度も繰り返し、ネグもそれにニヤッと笑いながら応戦するように、同じようにキスを返す。
「ふにゃ……」
マモンはそんなネグのキスにふにゃっと力の抜けた笑顔を浮かべた。
それを見た3人は、完全に言葉を失ったまま、ただただその光景を見つめ続けた――。