テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
──だぁ・すかー・夢魔 視点──
リビングの隅。
3人は無言のままスマホを握りしめたまま立ち尽くしていた。
その時、ネグとマモンが水を飲み始めた。
そして――
「……あ……」
小さな音とともに、ネグが手元を滑らせ、水を服にこぼしてしまった。
だぁの服が濡れてしまい、ネグはその場で小さく肩を震わせ、声も出さずに涙目になっていた。
マモンがすぐにネグの手を取って、低い優しい声で言った。
「だぁのだし……大丈夫だよ」
そのまま、ネグの手を引いて歩き出す。
3人は、ただそれを見つめているしかなかった。
すかーが眉をひそめた。
「勝手にどこ行く気だ……?」
その答えはすぐに見えた。
夢魔の部屋――
タンスを勝手に開けて、色違いのパーカーを取り出して、ネグとマモンが着始める。
だぁは眉間にしわを寄せながらも、何も言わなかった。
夢魔は横目でそれを見ていたが、何も言わず、ため息ひとつ。
ネグとマモンはそのまま夢魔のベッドに潜り込み、また眠り始めた。
その時も、小さな声が漏れた。
「夢魔の匂いだぁ♡」
「おっきい……ぶかぶかぁ♡」
その声に、すかーは拳をギュッと握りしめ、夢魔は無言で目線を逸らし、だぁは無言でスマホを握り直した。
だが、それだけじゃ終わらなかった。
今度はネグとマモンが、どちらが先に眠れるか勝負しようと話し始めたのだ。
その流れで――
ネグとマモンはお互い、3人の「良いところ」と「悪いところ」を言い合い始める。
ネグが眠そうに笑いながら呟いた。
「夢魔はねぇ、優しくて……怒ると面白くてぇ……」
その時、夢魔の眉がピクリと動いた。
「すかーはおっきくて、ダサい下着履いてて……」
すかー:(は??)
心の中で確実に声にならない叫びがあった。
ネグは続けた。
「だぁは優しくて……良い人で……ブチ切れたら……死ぬほど怖くて……」
言葉がだんだん覇気を失っていくのを、だぁはじっと見ていた。
その隣で、マモンもぼそっと呟く。
「まぁ……俺たち……あれ、やっちゃったしな……主にネグが……」
目線を逸らすマモン。
ネグも、心底申し訳なさそうな顔で。
「……本当……狙ってしてる訳じゃないんだけど……」
そのやり取りを聞いていた3人。
だぁ:(……いや、わかってる……わかってるけどさ……)
すかー:(ダサいとか、マジで言いやがったな……)
夢魔:(お前ら……本気で反省してる顔じゃねぇんだよ……)
けれど。
声には出せない。
3人とも心の中でだけ、長文で叫び続けていた。
──
そのまま、ネグとマモンは布団の中で眠り始めた。
寝る前、ネグが夢魔の服に頭を擦り付けるようにしながら、小さな寝言を呟く。
「……夢魔の匂い……」
マモンも同じく、服に顔を押し付けるようにして。
その様子を見ていた3人は、静かに座り込んだ。
何も言わず、ただその光景を見守るしかない。
だぁ:(……もう、ほんと……ずるい……)
すかー:(言い返す気力すら無くなるわ……)
夢魔:(あいつら……なんなんだよほんとに……)
それでも――
6,745
耀聖(ようせい)
1,202
#STPRファミリー
誰もその場を離れなかった。
ずっと、ネグとマモンを見守り続けた。
ソファのそば、少し離れたリビングの壁際。
3人は並んで立ったまま、無表情でスマホを手にしていた。
カシャ、カシャ……
シャッター音は切ってある。
だが手は止まらない。
何十枚目かも分からない写真を撮りながら、
3人の心の中ではひたすら同じような言葉が繰り返されていた。
だぁ(……いや、これ反則だろ……ほんと無理……)
すかー(またかよ……あいつら……どんだけやらかすんだよ……)
夢魔(おいおい……ちょっと可愛すぎるんだが……)
そんな中で――
ネグがふと、体を起こした。
「……毛布……」
その一言に、3人が一瞬だけスマホを構える手を止めた。
だが――
マモンが、その腰にガシッと腕を回すように掴んで、行かせないようにする。
ネグは「あれ……また?」と小さく困った声。
そして、何とか腕を外そうとするが、無理だった。
「ねー、マモン……離して……ッ」
か細い声。
それでもマモンは離さない。
ネグの声は、さらに弱くなる。
「好きだから……ねぇ、離してってば……」
その瞬間、マモンは静かに、ふにゃっとした笑みを浮かべて言った。
「……俺も」
……そこまで見届けた3人。
顔は完全に無表情のまま、しかしスマホだけは静かに持ち続け、録画まで始めていた。
だぁ(なんだこれ……普通じゃねぇ……ほんと可愛すぎて無理……)
すかー(声出すな……絶対声出すな……耐えろ……耐えろ俺……)
夢魔(え、可愛いの暴力じゃん……なんだよこの無理ゲー……)
3人とも、表には一切出さない。
けれど心の中では――
だぁ:(ずるい……ずるすぎるだろネグもマモンも……あぁもう……だめだ……声出そう……)
すかー:(いくらなんでも反則だって……完全に……オーバーキルだろ……)
夢魔:(こいつら……ほんと、マジで天使か……?ちょっと落ち着け俺……)
けれど誰ひとりとして、止めに入ろうとはしない。
ただ静かに、無音のまま。
ひたすらにカメラを構え、録画を続けた。
沈黙が続く中――
ネグとマモンの甘い空気に、誰ひとり言葉を発さず、
ただ静かにシャッターを切り続けていた。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!