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『また連絡する。』
そう言ったクセに、元貴からもアイツからも連絡のないまま三日経って。
それは、四日目の朝だった。
ドタバタ音がするリビング。
その音で、目が覚めた。
「あーん、もう。」
これ、アイツの声だ。
「自分の洗濯は回したし、あとは…。」
相変わらず、デカい声で独り言言うのな。
「あれ、今日ゴミの日だっけ。」
うわっ、アイツ、日付間違えてる!
「ゴミは明日!」
思わず飛び起きて、部屋のドアを開けて叫ぶ。
ばっちり、目が合った。
「…おはよう。」
「えと…えっと…おはよう、ございます?」
なんか、気まずい。
お互いに視線を逸らす。
「…風邪は?」
「え、あ、うん、治ったよ。ごめんね。」
「なら、いい。」
酷くならずに済んだなら。
「ごめんね、起こしちゃった?ごめんね。」
だから。
「謝んじゃねぇよ。」
別に悪いことしてる訳でもねぇのに。
「ご…。」
言いかけて、口を閉じて。
「…ありがとう、服、届けてくれて。」
気まずくて、俺は視線を逸らしたままなのに、涼ちゃんはちゃんとこっちを見てた。
「別に…。」
頼まれて、やった事だし。
ちゃんと顔を見た涼ちゃんは、顔色もよかったし、元気そうだったし。
何より、笑ってた。
そう言えば、服で、思い出した。
「お前、クローゼット片付けろよ。服の雪崩が起きるぞ。」
「酷っ、僕には何があるか分かるし、崩れたりしないのに。」
「季節外れの物があってもか?」
「もちろん!」
腰に手を当てて、胸張ってまで言うことか?
「じゃあさ、せっかく早く起きたんだから、片付け手伝ってよ、レッスンまで。」
「起こしたクセに。」
「いいじゃん!早く、早く。」
俺のそばまで来て、手を引っ張った涼ちゃんからは、いつもと違うシャンプーの匂いがした。
なんか、それが凄く嫌で、胸がぎゅっとなって。
「…泣いてるの?」
「んなこと、ねぇよ。」
気のせいだ、気のせい。
ため息をつくみたいに笑って、繋いでくれた涼ちゃんの手は、あったかかった。