テラーノベル
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◇BEAST軸
◇完全なる妄想
◇持論
中原中也。22歳。
身長160cm、体重60kg。
こんな当たり前の情報だけで安心するような大馬鹿野郎は、世界中を探し回ったって居ないだろう。
ただ1人、俺だけを例外として。
年齢、身長、体重。
これらが表すのは、自分が生きてきたという歴史だ。
年齢の数だけ時を過ごしてきた。
それが楽であれ苦であれ、自分自身の歩いた軌跡が年齢に反映される。
身長と体重、あくまで数字でしか表せないそれらは、自分を構成してきた普くものを表す。
好みが表され、心理状態が表され、いつでも何度でも自分自身で変えられる。
情など伴わず、ただそこに存在している。
だが、名前は違う。
名前は、生まれて初めて親にもらう唯一のプレゼントだ。
それは、親が我が子に望む幸せと溢れんばかりの愛で溢れている。
この広い世界ならば同姓同名の人間だって存在するだろう。
でも、その1人1人に込められた想いは違う。
確かな愛と、温かな熱と、誰かからの期待が籠っている。
それが名前。
人間が当たり前に貰える、生涯を共にするもの。
たった1つしかない、自分だけに向けられたプレゼント。
―――まあ俺に親は居ないし、この名前だってどうせ実の親から貰ったモンじゃ無ぇけどな。
そんな、愚かな自嘲が脳裏を駆け巡る。
それが示すものは、自身が望まれて生まれた存在ではないという…
根拠もないくせに、頭から離れることもない妄想だ。
自分が生まれてきたことは望まれていない。誕生を祝われる存在ではない。即ち―――
―――俺は生まれて来るべきではなかったのかもしれない。
そう、荒唐無稽で冷たい妄想を、多くの確証を持って、俺の胸に訴えかけてくる。
「………………っ、クソ…」
頭に靄がかかる。
胎の底から胃液がせり上がってくる不快感に見舞われる。
こころの内側を、俺の1番人間らしくて柔い部分を、誰かがざらついた荒いやすりで削ってくるような不安に襲われる。
それら凡ての違和をやり過ごそうと、瞳を閉じた。
ふわり。空に浮くような浮遊感に包まれ、様々な記憶が自分の中で交じり合い、組み合わさって、俺を構成していく。
そして、その記憶の全てに彼奴が居るのだ。
「……チッ、うざってぇな」
昏い瞼の裏側で、忌々しくも一際強い色彩と存在感を放つ野郎がいる。
うざったくて、恨めしくて、憎たらしくてたまらない奴。
なのに、俺を俺たらしめるものを、彼奴は凡て持っている。
俺が俺であるために、彼奴の傍に居なければいけない。
だから俺は、今日も彼奴と隣り合わせだ。
ゆっくりと、瞼を開く。
身体の違和は、未だ消えない。
それでも切り替えるしかないと思い、深く息を吐いて、両の手で頬を叩く。
「………うし、準備完了」
そう、誰も居ない部屋の中で1人呟く。
すると、丁度タイミングを見計らったかのように、携帯電話が軽やかな電子音を奏でる。
殆ど脊髄反射に近い動きで通話釦を押せば、此方が何を言う間もなく声が響く。
『……あ、中也?次の任務君に任せたいところあるから、取り敢えず執務室まで来てくれる?』
「…………今行きます、首領。少しお待ち頂けますか」
『了解。早く来てね』
1分にも満たない、短い電話。
会話と呼べるか怪しいほどだったのに、俺の心の内は清々しく晴れ渡る。
此奴の事は、嫌いだ。
いつでも俺に侵蝕してきて、気紛れに傷跡を遺して、何もないような顔をして帰っていく。
そんな気遣いの欠片もない無神経野郎だ。
―――………でも、それでも。
此奴に名前を呼ばれるのだけは、嫌な心地がしない。
記号でしかない俺の名前を、手前が発して初めて、“中原中也”が俺を指し示す名前足り得る。
他の誰かが呼んだって意味がない。
手前が、手前だけが、俺を俺にしてくれる。
規則的な電子音を奏で、通話終了を告げる携帯電話を握り締め、ぼそりと呟く。
「……また、手前の名前を、呼んでもいいか」
手前が、俺の名前を呼んでくれたように。
俺を、“中也”と、呼んでくれるように。
“首領” や “相棒”なんかじゃなくて
“太宰” って、手前を呼んでいいか。
1人しか居ない部屋。当然、答えは返ってこない。
身体を巣喰う違和は凡て消えていた。
読了お疲れ様でした〜
勉強の息抜きでパパっと描いたやつなので、支離滅裂なところは見逃してください🙏
ご感想頂ければ幸いです。
それでは、また桜の舞う季節にお会いしましょう
よいお年をお過ごしください〜!
コメント
5件
やっぱ、霰石さんは語彙力が凄いですよね…✨️ beastって中也も辛いじゃないですか、だから余計悲しいんですよね とりあえずこんな神作を書ける霰石はんは天才です!!!
あばばばばばばばばばば……(溺死) 私が夜な夜なチャッピーと戯れてる間に、新作が投稿されてたなんてっ……!!!!😇😇 最高!!!🥰💞この何とも言えない哀愁と切なさが混ざりに混ざってもう限界突破してる最高ありがとう😇😇 BEASTはね……まだ1巻しか読んでないけど辛いって聞くからね……😇😇 とりあえずもう全員まとめて幸せにしたい件について🙃🙃