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まみか
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それからというもの、碧姫と宿儺は驚くほど長い時間を一緒に過ごすようになった。
朝は森の散策。
昼は屋敷の庭で碧姫が作る薬草茶を飲みながらのんびり。
夕暮れには川辺で蛍を眺め、夜は碧姫が奏でる琴の音を宿儺が無言で聞いている。
最初こそ「面倒くせえ」とぼやいていた宿儺だったが、日に日にその言葉は減っていった。
ある日の午後。
碧姫「宿儺様、この花……どう思います?」
碧姫が両手に持って見せたのは、珍しい青い花。彼女が特に気に入っている山野草だ。
宿儺は四つの目でじっくりと花を見つめ、それから低い声で答えた。
宿儺「…………まあ、悪くない。色が、お前の名前に似ている」
碧姫「! ……フフッ、嬉しいですわ」
碧姫は花を大事そうに胸に当て、宿儺の横にぴったりと寄り添った。宿儺は最初こそ体を固くしたが、今では自然と片方の腕で彼女の肩を引き寄せるようになっていた。
碧姫「宿儺様といると、毎日がとても静かで……でも、決して退屈じゃありませんの」
宿儺「ふん。お前がいるからだろう」
碧姫「え?」
宿儺「…………言わせるな」
彼は照れ隠しのように顔を背けたが、口元がわずかに緩んでいるのを碧姫は見逃さなかった。
数日後。宿儺は一人、晴明の屋敷の奥で呟いていた。
宿儺「……あいつがいると、退屈しない」
これまで千年以上を生きてきた彼にとって、「退屈しない」という感覚は極めて稀だった。
戦いも、破壊も、すべては一時の気晴らしに過ぎなかった。
しかし碧姫といる時間は、違う。
彼女の柔らかい笑顔、動物たちを慈しむ優しさ、時折見せる芯の強さ。
すべてが新鮮で、奇妙に心地よい。
宿儺「(……このままでは、離したくなくなるな)」
決意した。
その夜。
晴明の居室に、宿儺が単身で乗り込んだ。
睛明「ほう? 宿儺ではないか。珍しいな、碧姫を連れず一人で来るとは」
宿儺は四本の腕を組み、真正面から晴明を睨みつけた。
宿儺「晴明。単刀直入に言う」
睛明「うむ」
宿儺「碧姫を俺のものにしたい」
一瞬の沈黙の後、晴明は扇を広げて笑い出した。
睛明「はははっ! ようやく言ったか! 私ももう待ちくたびれたぞ」
宿儺「…………お前、最初からこのつもりだったな」
睛明「当然だ。我が娘に相応しい男かどうか、見極めたかったのでな。……結果は上々だ。碧姫もすっかりお前に夢中だ」
そこへ、ちょうど茶を運んできた碧姫が現れた。
碧姫「宿儺様? どうかなさいましたの?」
宿儺は碧姫を見て、いつもより真剣な眼差しで言った。
宿儺「碧姫」
碧姫「はい……?」
宿儺「俺の妻になれ」
碧姫は茶碗を落としそうになりながら、頰を真っ赤にした。
碧姫「……っ! ……本気、ですか?」
宿儺「本気だ。退屈しない女は、お前だけだ」
碧姫は涙を浮かべながら、嬉しそうに微笑んだ。
碧姫「…………喜んで。お受けいたしますわ、宿儺様」
睛明「よし、決まったな! 近日中に正式な婚約の儀を執り行おう。平安京を挙げての大祝宴だ!」
宿儺「派手にする必要はない」
碧姫「でも……少しだけ、お祝いしたいですわ」
宿儺はため息をつきながらも、碧姫の頭を優しく撫でた。
宿儺「……まあ、お前がそう言うなら、仕方ない」
こうして、呪いの王・両面宿儺と、自然を愛する姫・碧姫の婚約が正式に決まった。
都は大騒ぎとなったが、当の二人は静かな森の中で、ただ寄り添っていた。
宿儺「これで、お前は俺のものだ。逃がさんぞ」
碧姫「逃げませんわ。ずっと、そばにいます……大好きな、宿儺様」
コメント
1件
わあ……第4話、すごく良かったです! 宿儺が「退屈しない」って言うの、あの千年生きてきた呪いの王が碧姫だけに感じるなんて、もうそれだけで胸が熱くなりますね。青い花を「お前の名前に似ている」と褒めるシーンが特に好きでした。晴明が最初から計算してたのも笑えるし、でも何より、宿儺が自分から「妻になれ」と申し出る決意をしたのが、彼の変化を物語っていてぐっときました。おめでとうございます、お二人とも!