霊山寺映山紅というのが彼女の名前。
彼女は僕の最強の彼女になってくれると誓ってくれた。
ボクっ娘美少女という点だけ見れば、間違いなく僕の好み。ど真ん中と言ってもいいかもしれない。
でも実際の彼女はメンヘラで、ちょっと思い通りにいかないことがあっただけで手首を切ったり暴れたり。僕を巻き込んで自殺未遂まで起こした。一方で彼女には虚言癖があり、また小悪魔のように華麗に僕を振り回す。自殺願望があるのも自殺未遂を図ったのも僕ということにされて、今でもみんなそれを信じている。そのことでひどく彼女を恨んだこともあった。
去年の夏、悪い男が情緒不安定という彼女の弱点につけこんで近づいてきて、声をかけられたその日にもう体を許した。それからセフレ扱いされ、しまいにはセックスマシーンだと侮辱された。ときにアブノーマルな行為を求められることもあり、また元彼の仲間の二人の男ともセックスしたことがある。
元彼を愛していたから求められればすべて与えてきたのに、あっさり裏切られて捨てられた。そのことがトラウマになって彼女の精神症状は悪化した。それでもあっけらかんとセックスは好きだと言い切る。
好きとか愛してるとか僕にはこまめに言わせるくせに、自分はトラウマになっているからと言ってくれない。むしろ童貞のくせにと僕を馬鹿にする。推しだとは言われたけど、それは身近な人への愛情とは別物のように思えてならない。
ただのモブ男に過ぎない僕の手に負える相手ではない、という点では確かに彼女は最強だ。最強でなくても普通の彼女で僕はよかったのだけど――
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