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月曜日、朝一で病院に行って薬をもらって帰ってきてから、彼女のことをずっと考えていた。
土曜日に彼女と遊園地に行ったとき、バスの近くの席で咳をしている人がいて嫌な予感がしたけど、どうやらその人から風邪をもらったらしい。39℃の熱が出て、日曜日から寝込んでいる。当然、学校も欠席。
両親は仕事。妹は学校。食事の用意はしてある。
「今は心身を休めて風邪を治すのがあなたの仕事だからね」
母に言われたとおり、おとなしく自分の部屋のベッドの寝具にくるまっている。
彼女には医師の診察後にSNSで知らせておいた。たぶん明日も登校は難しそうだと書き添えて。授業中だからまだ返事はない。
僕の部屋は三階建ての一軒家の三階。熱にうかされてうつらうつらしていたが、玄関ドアが開けられる音がしたような気がして目を覚ました。誰か帰ってくるには早すぎる。発熱による幻聴だろう。もう一眠りしてから昼ごはんにしようとまた目を閉じたら、僕の部屋のドアがガラッと開けられた。
「発熱して寝込んでるんだって? でもボクが来たからもう大丈夫!」
目の前に制服姿の彼女の笑顔。幻聴だけでなく幻視まで。想像以上に重症のようだ。
「口が利けないほど重症なのか? しっかりしろ! 寝たら死ぬぞ!」
冬山での遭難と間違えているらしい。
「それにしても不用心だな。玄関ドアが施錠されてなかったぞ。頭のおかしい人が入ってきたらどうするんだ?」
もう入られているから手遅れだよ。