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うつむいて、電子タバコを吹かす彼を、ただじっと見ていた。
すると、向けられた背中で、頑なに関わることを拒絶しようとするカイの、そのタバコをつかむ指が、小刻みに震えているのが目に入って、
私はたまらずに、ガリッとまた砂利を踏みしめた──。
彼が、その音にビクリとして、こちらへ体を振り返らせる。
「カイ……」
思わず名前を呼びかけると、
「……ダメだ…もう、俺には関わるな…」
口にして、彼は後ずさって、
「……あんたまで、あいつに、壊されるっ……」
悲痛な声で、訴えかけた。
「……。……だからって、あなたをこのままひとりで放っておくことなんか、できるないっ……」
顔をそむける彼に走り寄り、
「……そんなに寂しそうなあなたを……ひとりになんて、できるはずないじゃない……!」
その身体を衝動的に抱き寄せると、
こらえていたらしい涙が、その瞳からスーッと滑り落ちたのが見えた。
「カイ……」
視線が交わり、絡み合い、沈黙が続いた後で、
彼が、タバコを口からはずして、
「……。……あんた……名前、なんて言うんだよ……?」
と、不意に訊いてきた。
「未来留……」
「ミクル、か……。ミクルは……俺を、ひとりにしないで、いてくれるのか……」
今にもまた、涙が零れ落ちそうな切なげな目で、私を見つめるカイに、
「……あなたを、ひとりになんかしないよ……」
胸を込み上げる思いのままを返した……。