テラーノベル
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夜。
KING本部。
廃工場での戦闘から戻った六人は、誰一人として口を開かなかった。
敵は六人全員の名前も、コードネームも知っていた。
それだけではない。
戦い方や能力まで把握している。
会議室には重い空気が流れていた。
らん「……みんな。」
「今日は休もう。」
なつ「でも!」
らんは首を横に振る。
「焦って動けば、敵の思うつぼだよ。」
みことも頷く。
「らんの言う通り。」
「今は情報が少なすぎる。」
その時だった。
いるまが立ち上がる。
いるま「俺は少し外に出る。」
こさめ「え?」
すち「一人は危ないよ。」
いるま「心配いらない。」
そう言い残し、部屋を出て行った。
静かに閉まる扉。
なつは小さくため息をつく。
「また一人で抱え込んでる……。」
らんは少し寂しそうに笑った。
「昔からだもんね。」
屋上。
夜風が吹き抜ける。
いるまはフェンスにもたれ、街を見下ろしていた。
「……。」
ポケットから一枚の黒いカードを取り出す。
敵が残したカード。
『次は君たち六人だけになる。』
その文字を見つめていると──
ガチャ。
屋上の扉が開く。
なつ「やっぱりここにいた。」
いるま「……。」
なつは隣に立った。
しばらく沈黙が続く。
なつ「なぁ。」
「俺たちさ。」
「ちゃんと仲間だよな。」
いるまは少し驚いたような表情を見せる。
なつ「敵は俺たちを疑わせようとしてる。」
「でも俺は、お前らを疑う気なんてない。」
「らんも。」
「こさめも。」
「みことも。」
「すちも。」
「もちろん、お前も。」
いるまは静かに笑った。
「……変わらないな、お前。」
なつ「変わるわけないだろ。」
「俺たちは六人しかいないんだから。」
その頃。
本部では──
すちが温かいコーヒーを淹れていた。
すち「はい。」
こさめ「ありがとう。」
みこと「助かる。」
三人はソファに座る。
こさめ「僕さ。」
「最初は一人で何でもできると思ってた。」
「でもKINGに入って分かった。」
「一人じゃ勝てない。」
すちは優しく笑う。
「僕も。」
「みんながいるから頑張れる。」
みことも小さく笑った。
「六人だから、ここまで来られた。」
らんはその様子を静かに見つめていた。
「……そうだね。」
「僕たちは家族みたいなもの。」
「だから絶対に誰も失わない。」
翌朝。
六人は再び会議室へ集まっていた。
昨日までの重い空気は少しだけ消えている。
らん「改めて確認するよ。」
「敵が何をしてきても。」
「僕たちは仲間を疑わない。」
なつ「もちろん!」
こさめ「約束。」
みこと「信じる。」
すち「絶対に。」
いるまは小さく笑いながら言った。
「……あぁ。」
その瞬間。
ピコン。
本部の大型モニターが勝手に起動する。
画面に映ったのは、あの黒いフードの人物。
???『美しい絆だ。』
『だが──』
『その絆は、もうすぐ壊れる。』
画面が切り替わる。
映し出されたのは、一枚の古い写真。
そこには、まだ幼い頃のいるまが写っていた。
全員が息を呑む。
なつ「……いるま?」
こさめ「これって……。」
いるまの表情が一瞬で変わる。
らんは静かに振り向いた。
「……知ってるの?」
いるまは写真を見つめたまま、小さく呟く。
「……なんで、その写真を。」
画面には最後に一文だけ表示された。
『次は、お前の過去を暴く。』
会議室に重い沈黙が流れる。
誰も知らない、いるまの過去。
それが、ついに動き始めようとしていた――。
コメント
3件
読み終わりました……第8話、すごく良かったです。冒頭の重い沈黙から、屋上でのなつといるまの会話。なつの「ちゃんと仲間だよな」って言葉、じんわりきました。六人しかいないからこそ、信じ合うって決めたんだなって。でも最後の写真で一気に空気が変わって……「次は、お前の過去を暴く」の一文、怖いけど続きが気になりすぎます。いるまの過去、何があったんだろう。
ころさな
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甘夏 桜
60
4,990