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別に、そこまで慕っていたわけではない。別に、そこまで大事な仲間でもなかった。
初めは、只利用されて戦わされてるだけだって、思ってた。
だから、別に誰かが死のうと、何も気にする必要なんかなかった。
独りぼっちなんて、慣れていたハズだった。
見慣れていたはずの、赤い、赤黒い血。
傷口はパックリと割れ、そこから永遠と血は流れ続け、どんどん肌は白く、冷たくなっていく様子。
息も浅くなり、力もどんどんなくなっていく。
そして、体はぐったりと、肌は水のように冷たくなった頃に、人は息を引き取る。
「ゾムさん、すまん、しくじったわ……」
「まだ大丈夫やエーミール……!止血、いや、回復薬塗るか……いや、でもこの量……っ」
「……っゾム、…私を、置いて行って下さい、……どうせ無理でしょうし、戦闘能力が特別高いってわけじゃない、……だから、他の人のところに加勢に行ってください……」
「っなんでや!なんで、まだ助かるかもしれんやん!!……エミさん……っそんなこと……」
そして、エーミールは無線でこう伝えた。
『後は、頼む』
そして、死んだ。
どんどん体温が冷たくなって、脈も薄くなって、……そして、エーミールは動かなくなった。
なんとも思わない、思わないハズだった。
なのに、アレ以来、拭いきれない孤独感がいつも俺に縋り付いて、離れようとはしなかった。
いつ、どこにいても、俺の知らないところでみんな死んでるんやないか、とか、世界に俺一人だけになってしまうんやないか、っていっつも不安で訓練なんか手につかんかったり、いっそのことアイツらよりも先に逝ってしまった方が楽なんやないかって考える時も少なくない。
「……ミンナに、話したいことがアル。」
そう言い、現れた運営国主幹部、緑色こと緑くん。
他、総統含め主幹部全員がいなくなった、運営国。そして、その国の総統代理を務める緑くん。
俺がその立場なら、絶対耐えきれんな。と、感心した相手だ。
そんな緑くんは、主観部を集めて一言
「……我々国の、参謀。エーミールが、この間僕がいた総統室に現れた。」
その場の空気が凍った。
冗談?
否、ものすごく真面目な顔でいう緑くんに、俺らは信じる他なかった。
「……で、でもエーミールは……」
「……そう、ソウナンダ。エーミールは、あの戦争で確実に死亡シタ。……だけど、この間間違いなく俺の部屋に現れタ。」
「……とにかく、僕は報告をしにきたダケ。また何かわかったら報告するシ、そっちにもなんかあったら報告してホシイ。……僕は、まだやる事があるカラ……」
それだけ言うと、緑くんは呆気にとられた俺らを置いて、部屋を出て行った。
「……今の、信じるん?」
鬱が、そう呟く。
「信じられん話だけどな、……こう言う話題で緑くんがわざわざ冗談言いに此処までくるとは思えんわ……」
「……でも、エミさんがもし現れたんだったら、なんで俺らんとこじゃなくてあっちなんや…?もし、生きてたんだったら、俺らんとこ来ればええやん……!!あんな話ウソやろ?!あんなん、……っ信じろ言われても無理やんっ!!」
「…………でも、もし生きてるんやったら、探すしかないやろ……」
「……生きてるわけ、……生きてるわけないわ!!言い切れる、エミさんは、あの日あの時、完全に死んだ……!!俺が身をもって知ってるんや、間違いない!!……エミさんが、……生きてるわけ……」
「……でも、その少しの希望を信じてみるのも、ええんやない?ゾム。……ウソやったら、騙されたぁー…って、悔しがればええ。本当に会えたら、探してよかった…って喜べばええ。このイベントが起こった時点で、何かしらの進展はあるやろ、……な?」
そんな、静かな声色で、子供を宥めるような口調で話す鬱に、俺は何も言うことはなかった。
何も言わず、二人を背にして部屋を出た。
自室に戻れば、独りが待っている。
それでも、俺は部屋に戻った。