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y.j side
“ ずっと勇斗くんのことが好きでした “
” よかったら私と付き合ってください “
「うん、いいよ。俺も好きだった。」
放課後の体育館裏。
同じクラスの女の子に告白されている俺の好きな人。
やっぱりあなたは素敵だから隣にいたいと思う人なんてたくさんいるよね。
あなたを俺だけのものにしたいなんてわがまま言っちゃだめだよね。
「なあ仁人!」
なんて俺の気持ちも知らないくせに話しかけてくるあなた。
「俺、今度彼女の家でお泊りデートするんだよね」
『っ、、そうなんだ。』
やっぱり俺なんて恋愛対象にも入ってないよね。
ねぇやっぱり俺じゃだめなの、?
そう言いたい気持ちをぐっとこらえて言葉を飲み込む。
こんな恋なんてきっと許されないよね。
いつもの帰り道。
今日はちょっと遠回りしてみようかなって歩いてみた海辺。
あなたのことを考えていると時間なんてあっという間に過ぎ去ってしまって。
月だけを綺麗に照らす海の水面を眺めながら、
あなたの目にも俺だけを映して欲しいなんて。
こんな気持ち届くわけないのに。
今日もまたあなただけを想いながら
ひとり海の底で眠るわ。
「いやいや!俺の彼女の方が可愛いから!笑」
いつもあなたの無邪気な笑顔を見るのは横顔で。
そんな笑顔が見たくて覗き込むように見てしまう自分が虚しい。
あなたに出会わなければこんな辛い思いしなかったのかな、なんて。
嘘でも言えない俺は馬鹿だ。
きっとあなたは知らないでしょ。
あなたがふとした時に見せる優しさで泣いてる夜があるなんて。
頑張ってあなたのことを忘れようとしてるのにあなたが優しくするせいでずっと頭から離れないの。
だから俺に構わないであの子だけ幸せにしてあげて。
これであなたを想うのは最後にしようってもう一度あの海辺へと歩みを進める。
あの時みたいに月だけを綺麗に照らす水面。
忘れようとしても忘れられないあの笑顔。
忘れようとしても忘れられないあの優しい声。
全部全部、海の底に置いていこうって滲ませる涙も誰にも知られない。
『勇斗愛してたよ。』
♪ 藍 / 吉田仁人
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